基準値 5.2~11.5EU/g Hb/37℃(m±2SD)
測定法 Beutlerらの方法(Br J Haematol 35:331-340,1977)
検体量 全血5mL(ヘパリン,EDTAまたはACD液)
日数 数日
目的 G-6-PD欠乏症の診断
Decision Level
●低値(基準下限以下)
[可能性]G-6-PD欠乏症 [対策]家族歴,既往歴聴取.薬剤服用の制限.G-6-PD異常の精査
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
本酵素は血清中活性ではなく,赤血球中での活性低下に,臨床的意義がある.すなわち,G-6-PD欠乏症の診断のため,赤血球中の本酵素活性が測定される.
G-6-PD欠乏症は伴性潜性遺伝(劣性遺伝)を示す遺伝性疾患で,DNAの塩基置換が原因である.サルファ剤や解熱薬服用で急性溶血発作を起こし,ヘモグロビン尿を呈する.日本人には少ないが,アフリカ黒人男性の約12%,フィリピン,タイ,台湾,中国南部など東南アジアの男性の数%にみられる.
G-6-PDは五炭糖リン酸回路の最初の反応にかかわり,NADPHを産生する.赤血球中では還元型グルタチオン(GSH)がヘモグロビンや赤血球膜の酸化による変性を防いでいるが,NADPHが不足するとGSHが枯渇し,ヘモグロビンや赤血球膜が変性して赤血球の変形能が障害され,溶血の原因となる.
判読
①測定は専門の研究施設に依頼する.②輸血を受けると結果に影響する.
採取保存
ヘパリン,EDTAまたはACD液存在下に採血し,全血を4℃で2~3日.凍結不可.
薬剤影響
抗マラリア薬(プリマキンなど),サルファ剤などの内服で溶血発作を起こすため,内服しないようにする.本酵素は赤血球内の酵素であり,赤血球の日齢に応じて低下する.このため溶血により網赤血球の増加している場合は,酵素活性が高く測定されることがある.
推奨する総説
三輪史朗:G6PD.内科 7
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