基準値 2.5ng/mL以下
測定法 EIA法
検体量 血清0.3mL
日数 3~5日
目的 心筋梗塞の重症度診断
Decision Level
●2.5~10ng/mL(増加)
[高頻度]心筋梗塞,心筋炎,筋ジストロフィー,皮膚筋炎,多発性筋炎,腎不全 [対策]CKおよびアイソザイム,トロポニンT,ミオグロビンの測定,心電図,心エコー,心カテーテル検査,筋電図,筋生検
●10ng/m以上(高度増加)
[高頻度・可能性]心筋梗塞(中等度以上) [対策]CKおよびアイソザイム,トロポニンTの測定,心電図,心エコー,心カテーテル検査
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ミオシンは筋原線維を構成する蛋白で2つの重鎖と4つの軽鎖からなる.分子量20,000~30,000と小さく,細胞外に逸脱しやすく,また血中で安定なことから心筋障害の生化学的指標と考えることができる.
心筋梗塞では発症3~4時間で上昇し始め,12~24時間で最高値に達し,7~15日間高値が持続する.血中半減期が4.5時間と短いため梗塞の大きさの評価に優れている.発症後,時間が経過してからの診断にも役立つ.
腎不全では尿中の排泄が遅れるため高値を呈する.測定に用いる抗体は骨格筋ミオシン軽鎖との交差反応を認め,骨格筋の大量障害で上昇する.
[関連する検査]
心筋トロポニンTは現在最も特異的な心筋障害のマーカーと考えられている.心筋梗塞発症早期(3~6時間後)から2~3週後まで有意な上昇が持続する.
判読
①日差変動を認めず,食事の影響も認められない.②女性は男性より低値を示す.③筋肉注射,運動の影響は認められない.④抗凝固剤は測定に影響しない.
採取保存
①採血,血清分離後直ちに測定.②-20℃で数カ月間安定.
保険注意
同一の患者につき,同一日に2回以上検査を行った場合は1回のみ算定する.
推奨する総説
福島正人ほか:心筋マーカーの評価.臨牀と研究
関連リンク
- 臨床検査データブック 2023-2024/アルブミン/グロブリン比(A/G比) [小]
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- 臨床検査データブック 2023-2024/クレアチンキナーゼ-MB〔CK-MB〕《クレアチンホスホキナーゼ-MB〔CPK-MB〕》 [保] 90点
- 臨床検査データブック 2023-2024/ミオグロビン [保] 135点
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- 臨床検査データブック 2023-2024/心筋トロポニンI [保] 112点
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- 臨床検査データブック 2023-2024/脳性ナトリウム利尿ペプチド〔BNP〕 [保] 133点(包)