基準値 130~400ng/dL
測定法 RIA法
検体量 血清0.5mL
日数 3~6日
目的 膵疾患の病勢診断
Decision Level
●130ng/dL以下(減少)
[高頻度]慢性膵炎,膵切除術後 [可能性]膵腫瘍 [対策]アミラーゼ,リパーゼの測定,膵外分泌機能検査
●400~1,000ng/dL(増加)
[高頻度]急性膵炎,慢性膵炎,肝・胆道疾患 [可能性]膵腫瘍,腎不全,糖尿病 [対策]「減少」の対策と同様,腫瘍マーカー,画像診断
●1,000ng/dL以上(高度増加)
[高頻度]急性膵炎 [可能性]腎不全,慢性膵炎急性増悪,膵腫瘍 [対策]「増加」の対策と同様
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
血清中のPLA2は,主として消化酵素として存在する膵より逸脱したものと考えられる.本酵素を測定することにより膵疾患の病勢を知ることができ,膵疾患の診断・経過観察に役立つ.
急性膵炎では数十~数百倍の高値を示し,臨床経過ともよく相関する.また,臓器特異性がアミラーゼ,エラスターゼ1に比べ高い.膵炎発症直後から上昇し,1日でピークに達するが,他の逸脱酵素と比較し高値が遷延する.慢性膵炎では初めは高値を示すことが多く,進行するにつれて値の低下がみられる.慢性膵炎急性期には上昇する.
[関連する検査]
血中膵PLA2は急性膵炎の診断や病勢判定などに有用であるが,慢性膵炎例における血中膵PLA2の低下はセクレチン試験の結果と高い相関を示す.現在,わが国においてセクレチンは入手困難であるため,膵PLA2の測定はセクレチン試験に代用できる.
判読
①日内変動は認められず食事の影響も受けない.②加齢によりわずかに上昇する.③性差は認められない.
採取保存
①4℃の保存で数日間安定.②-20℃では半年間安定である.
薬剤影響
上昇モルヒネ製剤で上昇を示すことがある.
推奨する総説
比良裕子ほか:膵疾患に対する検査
関連リンク
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