基準値 150~250mg/dL
測定法 酵素法
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 肝合成能の評価
Decision Level
●150mg/dL以下(減少)
[高頻度・可能性]劇症肝炎,非代償性肝硬変,急性肝炎極期,家族性無βリポ蛋白血症,家族性低βリポ蛋白血症,Tangier病,甲状腺機能亢進症,吸収不良症候群,骨髄増殖性疾患,多発性骨髄腫,Wolman病,Reye症候群,多発性硬化症 [対策]原疾患の治療
●250~400mg/dL(増加)
[高頻度・可能性]閉塞性黄疸,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎,Zieve症候群,脂肪肝,高コレステロール血症,甲状腺機能低下症,ネフローゼ症候群,妊娠,経口避妊薬 [対策]原疾患の治療
●400mg/dL以上(高度増加)
[高頻度]閉塞性黄疸,原発性胆汁性肝硬変,原発性硬化性胆管炎,高コレステロール血症 [可能性]ネフローゼ症候群,甲状腺機能低下症 [対策]原疾患の治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
血液中のリン脂質は主として肝臓で合成され,リポ蛋白の表層成分として血中に分泌されたものである.リン脂質は各リポ蛋白の主要構成成分であるため,その増減は各リポ蛋白の増減の指標となる.健常者においてリン脂質はコレステロールと並行して増減し,リン脂質/コレステロール比はほぼ1:1である.
重症の肝細胞障害(劇症肝炎,非代償性肝硬変,急性肝炎極期)では,合成能の低下に由来する血清リン脂質の低下が認められる.また閉塞性黄疸では,ホスファチジルコリンが血液中に逆流しアルブミンなどの蛋白質とLp-Xと呼ばれる円盤状の異常リポ蛋白を形成し,リン脂質値は上昇する.閉塞性黄疸の他,原発性胆汁性肝硬変や原発性硬化性胆管炎においてリン脂質/コレステロール比が上昇し1.5以上となることが知られており,診断の手がかりとなる.
[関連する検査]
血清脂質(総コレ
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