基準値 10μM以下
測定法 酵素法
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 肝臓の代謝能の指標
Decision Level
●10~40μM(増加)
[高頻度・可能性]急性肝炎,慢性肝炎,代償性肝硬変,肝癌,体質性黄疸 [対策]原疾患の治療
●40μM以上(高度増加)
[高頻度]非代償性肝硬変,劇症肝炎,肝内胆汁うっ滞,肝外胆汁うっ滞 [可能性]急性肝炎,代償性肝硬変,肝癌 [対策]原疾患の治療,胆汁酸を低下させるためには陰イオン交換樹脂を用いる
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
胆汁酸は肝細胞でコレステロールより生成され,胆汁として十二指腸に排泄される.排泄された胆汁酸は回盲部末端より再吸収され,門脈を経由して肝臓に戻ってくる閉鎖的腸肝循環を行っている.しかし肝細胞障害があると,肝臓での胆汁酸処理能が低下し血中胆汁酸濃度が増加する.
また胆汁うっ滞時には,破綻した胆道系から血液中に胆汁酸が流入することにより高胆汁酸血症を示す.肝細胞障害による高胆汁酸血症では,胆汁酸分画のコール酸/ケノデオキシコール酸比が1以下になることが多いのに対して,胆汁うっ滞時にはこの比が1以上になることが多い.
健常者において血中の胆汁酸濃度が増加することはなく,肝疾患のスクリーニングとして有用な検査である.
[関連する検査]
本検査が異常値を示す場合,肝障害(特に肝硬変)の存在が疑われるため,肝胆道系の検査を行う必要がある.
判読
①性差は認めない.②空腹時に低下し,食事摂取にて上昇する.
採取保存
①空腹時採血にて血清もしくは血漿を採取する.②抗凝固剤のフッ化ナトリウム(NaF)は酵素反応を抑制するため使用しないほうがよい.③検体は-20℃の凍結保存にてかなり長期間安定である.
測定前後の患者指導
空腹時採血であることを伝える.
推奨する総説
永山亮造:胆道系酵素,総胆汁酸の読み方.臨床と研究 80:223-225
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