診療支援
検査

遊離脂肪酸〔FFA〕   59点
free fatty acid
木下 誠
(東レ(株)医務室)

基準値 100~800μEq/L


測定法 酵素法


検体量 血清0.3mL


日数 2~4日


目的 脂肪細胞異化の指標


Decision Level

●100μEq/L以下(減少)

[高頻度・可能性]下垂体機能低下症,甲状腺機能低下症,インスリノーマ,Addison病,食後,グルコース注射,薬剤(インスリン,β遮断薬) [対策]原疾患の治療

●800μEq/L以上(増加)

[高頻度・可能性]糖尿病,肥満,甲状腺機能亢進症,Cushing症候群,褐色細胞腫,先端巨大症,心筋梗塞,ネフローゼ症候群,肝硬変,ストレス,飢餓,薬剤の影響(α遮断薬,カフェイン,テオフィリン,L-ドーパ) [対策]原疾患の治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 血液中の脂肪酸のほとんどはコレステロール,リン脂質,トリグリセライドとして存在し,遊離の状態で存在するのは全体の約5%である.血中のFFAのほとんどは,ホルモン感受性リパーゼ(HSL)もしくはリポ蛋白リパーゼによるトリグリセライドの加水分解に伴って生じたものである.HSL活性は甲状腺ホルモンやカテコールアミンにより活性化され,インスリンにより抑制される.糖尿病でのFFAの増加はケトーシスを生じさせる可能性があり,また心筋梗塞時のFFAの増加は不整脈の原因となる可能性があるため注意が必要である.


[関連する検査]

 血糖,インスリン,トリグリセライドなどインスリン抵抗性を示す指標とともに判断することで,体内脂肪蓄積量が推定可能である.


判読

①生理的変動幅が大きい.②性差などは知られていない.


採取保存

①生理的変動が激しいので,一定の条件下(早朝空腹時など)での採血が望ましい.②検体は4℃に保存し速やかに測定する.


薬剤影響

上昇α遮断薬,カフェイン,テオフィリン,L-ドーパで上昇する.②低下インスリン,β遮断薬で低下する.


測定前後の患者指導

 空腹時採血であることを伝える.


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