診療支援
検査

金〔Au〕
gold
安田 隆
(吉祥寺あさひ病院副院長)

基準値 150~210μg/dL


測定法 原子吸光法


検体量 血清1mL,尿6mL


日数 4~12日


目的 金製剤使用中の蓄積の確認


Decision Level

●高値

[高頻度]関節リウマチ(RA)やその他の自己免疫性疾患で使用されるAu含有製剤の使用 [対策]症状の程度でAu製剤の中止を検討する.粘膜皮膚症状には抗ヒスタミン薬やステロイド軟膏,重症の際にはステロイド剤の全身投与を検討する.金属キレート剤(BAL,ペニシラミン,N-アセチルシステイン)はステロイド不応性の際には検討する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Auは原子番号79の第11族元素に属する金属元素で,古くから貴金属として利用されてきた.人体には必須な元素ではない.化学反応性が低く,食用されたAuは胃酸などの消化液とは全く反応せず,体内を素通りしてそのまま排泄されるため,人体に何の効用も毒性もない.このため,Auは食品添加物として認可されており,また,歯科用材料としても使用されている.一方,Auイオンは生体に障害を生じる.最も多いのはAu製剤による副作用で,Au製剤には筋注で使用される金チオリンゴ酸ナトリウム(GST)と経口薬のオーラノフィンとがある.RAやその他のリウマチ性疾患,自己免疫性疾患に用いられるが,作用機序の詳細は不明である.

 GSTは筋注後速やかに吸収され,2~6時間で最大血中濃度となり,その後に2相性に低下し,緩徐相での半減期は6日程度である.毎週の筋注では血中濃度は6~8週でプラトーとなる.投与されたGSTはその40%が尿中や便中に排泄されるが,残りは腎,副腎,網内系などにとどまる.これらの臓器では使用中止の25年後でもAuが検出される.オーラノフィンは経口投与後30%程度が吸収され,1~2時間で最大血中濃度となる.そして,90%程度が糞便から,10%程度が尿から排泄される.体内貯留量は筋注薬より

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