基準値
・成人男性では95±7mmHgであり,約100mmHgとしてよい
・年齢依存性であり,日本呼吸器学会により発表された予測式はPaO2(mmHg)=109-0.43×年齢(安静臥位,室内気)である
パニック値 40mmHg以下
パニック値とその原因病態・危険病態表
測定法 O2ガラス電極法
検体量 動脈血1mL
日数 即時(測定機器が院内に必要)
目的 呼吸状態の把握
NOTE *保険点数:135点(血液ガス分析)
Decision Level
PaO2は呼吸状態を示す指標として重要であるが,その解析にあたっては,肺における酸素交換の指標である肺胞気動脈血O2分圧較差(A-aDO2)および肺胞における換気の指標であるPaCO2とともに検討する必要がある.
A-aDO2の計算式は,以下のように導くことができる.まず,肺胞気酸素分圧(PAO2)は次式で表すことができる.
PAO2=吸入気酸素分圧(PIO2)-肺胞気CO2分圧
(PACO2)÷0.8=PIO2-1.25×PaCO2
(肺胞でのCO2交換は迅速でありPACO2=PaCO2.0.8は呼吸商)
ここで,室内気(1気圧=760mmHg)では,PIO2=(760-47)×0.21=150mmHg(47は水蒸気圧,0.21は吸入気酸素含有率)より,PAO2=150-1.25×PaCO2となる.よって,室内気におけるA-aDO2は,次式のとおりとなる.
A-aDO2(mmHg)=150-1.25×PaCO2-PaO2
通常,A-aDO2は10mmHg以下であるが,20mmHg以上に開大すると肺胞レベルでの酸素交換が障害されていると考えることができる.
一方,PaCO2は肺胞換気量を反映している.肺胞でのCO2交換は迅速であり,呼吸中枢によりPaCO2は厳密に調節されていることより,PaCO2の上昇は肺病変が末期に至るまでほとんど観察