基準値
・男性:3.4~7.7mg/dL
・女性:2.2~6mg/dL
測定法 ネフェロメトリー
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 蛋白質栄養状態の把握
Decision Level
●男性:3.4mg/dL未満(低値)
●女性:2.2mg/dL未満(低値)
[高頻度]ビタミンA欠乏症 [可能性]吸収不良症候群,低蛋白栄養失調症(クワシオルコル),肝疾患(過栄養性脂肪肝を除く),閉塞性黄疸,甲状腺機能亢進症,感染症,外傷 [対策]レチノールパルミチン酸エステルの経口投与,原因疾患の治療
●男性:7.7mg/dL以上(高値)
●女性:6mg/dL以上(高値)
[高頻度]慢性腎不全 [可能性]過栄養性脂肪肝 [対策]原因疾患の治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
脂溶性であるレチノールは運搬されるときに蛋白と結合して親水性となる必要がある.この蛋白がレチノール結合蛋白(RBP)で,血漿中の従来のRBPは肝臓で合成されるRBP4であり,小腸上皮細胞ではRBP2と,肝細胞内ではRBP1と結合して細胞内を移動する.RBP4のほとんどは肝臓で合成され,ごく微量が脂肪細胞で合成される.レチノールと結合していないRBPをapo-RBP(分子量約21,000),レチノールと結合したRBPをholo-RBPと呼ぶ.血液中に分泌されたholo-RBPはトランスサイレチン(旧名プレアルブミン)と蛋白-蛋白複合体を形成し(糸球体から濾過されにくくなって),標的臓器へ運ばれる.血中では通常約70%がこの形で存在する.しかし,標的細胞にレチノールを供給すると,apo-RBPはトランスサイレチンから解離するために糸球体から濾過され,さらに近位尿細管から再吸収されて異化される.
レチノール結合蛋白4(RBP4)は血中半減期が約16時間と短いため,蛋白質栄養状態の指標として用いられている.
ビタミンA欠乏症では,RBPは
関連リンク
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