基準値 血中には遊離型と付リン化(すなわち活性化)されたエステル型が存在し,両者を総ビタミンB1として定量する
・全血総ビタミンB1:20~50ng/mL(59~118nmol/L)
測定法 HPLC
検体量 全血1mL
日数 3~5日
目的 ビタミンB1栄養状態の判定
Decision Level
●20ng/mL以下(低値)
[高頻度]ビタミンB1欠乏症:末梢性神経障害(脚気),中枢性神経障害(Wernicke脳症) [可能性]肝障害,糖尿病,甲状腺機能亢進症,副腎皮質機能低下 [対策]易吸収性ビタミンB1誘導体の経口投与
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
穀物の胚芽や肉類で摂取されたチアミン(T)は肝臓で付リン化されて活性型のチアミンピロリン酸(TPP)になる.
摂取不足によるビタミンB1欠乏症では全血総ビタミンB1濃度は低値を示す.ただし,ビタミンB1塩酸塩は1回に10mg以上を経口投与しても吸収量はほとんど増加しない.したがって大量投与する場合はフルスルチアミンなど易吸収性ビタミンB1誘導体を用いる必要がある.アルコールはビタミンB1の吸収率を低下させ,肝障害が加われば活性化障害をきたす.高糖質食,激しい肉体労働,運動,発熱はビタミンB1の消費を増大させる.消化管手術後,激しい悪阻など経口摂取が不可能な場合に行う高カロリー栄養法では,10日間程度でもWernicke脳症を発症した例がある.
主な活性型はチアミンピロリン酸(TPPまたはTDP)である.肝機能障害,糖尿病,副腎皮質機能低下では活性型への転換が抑制され,利用障害が起こる.長期間の下痢,悪性腫瘍,慢性疾患でも低値が予想される.
赤血球トランスケトラーゼ活性およびTDP添加による活性増加率(TDP効果)はビタミンB1栄養状態のスクリーニングに用いられる.
利用障害の判定にはビタミンB1負荷試験(ビタミンB1塩酸塩20mg筋
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