診療支援
検査

甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験〔TRH負荷試験〕   1,200点(包)
thyrotropin-releasing hormone test
加治 秀介
(兵庫県立大学名誉教授)

基準値

●成長ホルモン(GH)

 GHの奇異反応をみる負荷試験として実施した場合,GHが前値の2倍以上の増加をもって奇異反応ありとする

 なおTRH負荷試験はGHの奇異反応をみる以外にプロラクチン(PRL)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌予備能を調べるためにも実施される.その場合の基準値を参考としてあげる

●PRL 前値の2倍以上でかつ

・女性:頂値30~65ng/mL

・男性:頂値15~30ng/mL

を満たす

●TSH 前値の2倍以上ないし頂値10μU/mL以上で正常(共に頂値は15~30分でみられる)


測定法 TRH200μg(ヒルトニン®1アンプルは500μg)を単回静注,投与前(0分),投与後15,30,45,60,120分に採血,GHと必要に応じてPRL,TSHを測定(RIA,EIA,CLEIA,FIA,CLIA法)


検体量

・GH測定用:各血清0.5mL

・GHとPRL,TSHを併せて測定する場合:各血清1mL


日数 数時間~5日


目的 GH,TSH,PRL分泌異常の補助診断と評価


Decision Level

●GHの奇異反応あり

[可能性]先端巨大症(GH産生下垂体腺腫と異所性GHRH産生腫瘍),肝硬変,腎不全,うつ病,糖尿病の一部 [対策]先端巨大症は75g糖負荷試験での血中GH抑制不良で診断する.異所性GHRH産生腫瘍の可能性があれば,血中GHRHを高感度アッセイで測定する.肝硬変,腎不全,うつ病,糖尿病は各々の診断基準による


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 健常者ではTRH投与にGHは反応しないが,先端巨大症患者の約2/3ではTRH投与後にGHの上昇がみられ,先端巨大症での奇異反応の典型とされる.奇異反応が起きる機序については現在も不明である.ただ,GHRH産生腫瘍に続発するGH産生細胞の過形成や肝硬変,うつ病などでもみられることから,GH産生細胞の腫瘍化が直接の原因ではないと

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?