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検査

副甲状腺ホルモン関連蛋白インタクト〔PTHrP-intact〕《副甲状腺ホルモン関連蛋白〔PTHrP〕》   189点(包)
parathyroid hormone-related protein-intact《parathyroid hormone-related protein》
高松 順太
(高松内科クリニック院長)

基準値 1.1pmol/L以下


測定法 RIA(固相法)


検体量 血漿0.5mL


日数 3~7日


目的 高Ca血症を伴う悪性腫瘍の診断


Decision Level

●10pmol/L以上(高度増加)

[高頻度]高Ca血症を伴う悪性腫瘍(骨転移のない例),成人T細胞白血病 [可能性]骨転移と高Ca血症を伴う悪性腫瘍 [対策]悪性腫瘍の検索

●1.1~10pmol/L(軽度~中等度増加)

[高頻度]高Ca血症を伴う悪性腫瘍(骨転移の有無と無関係),正常Ca値を示す悪性腫瘍(特に肺扁平上皮癌,肺大細胞癌,成人T細胞白血病) [可能性]授乳中の女性,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫,健常者の一部 [対策]悪性腫瘍の検索


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 悪性腫瘍ではしばしば高Ca血症を合併する.このうち約80%は,骨吸収を促進する液性因子によるものであるとされており,そのさらに80%ではPTHrPが液性因子であるとされている.PTHrPは141個のアミノ酸からなり,N末端の13残基のアミノ酸はPTHと相同性を有するため,その作用もPTHとよく似ている.したがってPTHrP産生腫瘍による高Ca血症患者では,腎性cAMP産生が高まり,一方,血中PTH濃度は低下する.


[関連する検査]

①血中CaとP値を同時に測定して総合的に判断する.②血中PTH値が抑制されているか否かを確認する.


判読

①悪性腫瘍で血中Ca値が少しでも高い例では測定する意義がある.②本測定と同時に,尿中cAMP排泄量や血中PTH値も測定すると,患者の全体像がとらえやすい.③腎機能の影響を受けやすいので注意する.高Ca血症を合併する癌の腫瘍マーカーとして,治療経過中の変動を追跡することもよい方法である.④小児では高値をとる傾向がある.


採取保存

 凍結保存.


薬剤影響

 なし.ただし乳汁中にPTHrPが高濃度に含まれている.


保険注意

①3~4カ月に1回.②高

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