基準値 57~230ng/mL(全血)
多血小板血漿,髄液などでは基準値が異なる
測定法 HPLC
検体量 血液1mL
日数 4~10日
目的 カルチノイド症候群・ダンピング症候群の診断
Decision Level
●全血230ng/mL以上(増加)
[高頻度]カルチノイド症候群,ダンピング症候群(ダンピング症状発症時) [可能性]脳性麻痺(IQ50以下),認知症(低酸素症による),先天性風疹症候群,片頭痛(発作前) [対策]画像診断によるセロトニン産生腫瘍の同定,ダンピング症状の確認,5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)の測定
●全血57ng/mL以下(減少)
[可能性]膠原病(全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,全身性硬化症,混合型結合組織病),片頭痛(発作中),統合失調症,躁うつ病,フェニルケトン尿症 [対策]免疫学的検査などによる膠原病の診断,精神科領域疾患の診断
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン;5-HT)は,骨格筋を除く血管平滑筋に対する収縮作用,胃腸管機能調節作用,血小板凝集促進作用などの多くの生理作用を有し,脳では神経伝達物質として作用していると考えられている.5-HTは,全体の90%が胃腸管のクロム親和性細胞に,約8%が血小板に存在し,1~2%が中枢神経系に含まれる.5-HTは,血液脳関門を通過しないので,脳機能は末梢5-HTの影響をほとんど受けない.全血中の5-HTは大部分が血小板由来である.5-HTがしばしば上昇するのは,5-HTを産生するカルチノイド症候群や,胃切後患者の食後に起こる血管運動神経症状と消化器症状を呈するダンピング症候群である.後者では,摂取した食物が小腸内に急速に流入し,クロム親和性細胞からの5-HT分泌を促進するためであると考えられている.また,膠原病患者においては,病気の活動期に血小板中5-HTが減