プロゲステロン〔P₄〕　　保 151点(包)

progesterone

飯高　誠

（医療法人社団甲誠会飯髙医院理事長）

片山　茂裕

（埼玉医科大学かわごえクリニック客員教授）

基準値

●非妊婦

・卵胞期：0.28ng/mL以下

・排卵期：5.69ng/mL以下

・黄体期：2.05～24.2ng/mL

・閉経後：0.44ng/mL以下

●妊婦

・妊娠初期(4～13週)：13.0～51.8ng/mL

・妊娠中期(14～27週)：24.3～82.0ng/mL

・妊娠後期(28～38週)：63.5～174ng/mL

●男性　0.22ng/mL以下

測定法　ECLIA，CLIA

検体量　血清0.5mL

日数　2～4日

目的　黄体，胎盤，性腺，副腎機能の評価

Decision Level

●高値

[可能性]先天性副腎皮質過形成(21-ヒドロキシラーゼ欠損症，11β-ヒドロキシラーゼ欠損症，17α-ヒドロキシラーゼ欠損症)，Cushing症候群，副腎癌，精巣(睾丸)間質細胞腫，妊婦，多嚢胞性卵巣症候群，本態性高血圧　[対策]血中17α-ヒドロキシプロゲステロン(17α-OHP)，コルチゾール，デオキシコルチコステロン，ACTH，テストステロンの測定．超音波断層法やCTなどによる画像診断．ホルモン補充療法や腫瘍などの治療

●低値

[可能性]卵巣機能低下症，黄体機能不全，無月経，排卵異常，流産，胎盤機能不全，絨毛上皮腫，汎下垂体機能低下症，Addison病　[対策]産科的診断と治療．下垂体，副腎機能の精査と治療

異常値のでるメカニズムと臨床的意義

　P₄は，副腎皮質および性腺で合成される．特に女性では卵巣および胎盤で合成分泌されるP₄が，黄体機能や妊娠に重要な役割を果たしている．男性では，副腎皮質や精巣(睾丸)組織で合成分泌されているが，血中P₄は微量であり生体内で重要な作用を発揮しているとは考えにくい．女性では，血中P₄は，黄体機能や胎盤機能を推測する指標となる．また，副腎ないし精巣(睾丸)の過形成や腫瘍の際に血中P₄は増加し，副腎機能低下をきたすような疾患では血中P₄は低下する．

[関連する検査]

　卵巣

初出:臨床検査データブック 2023-2024 発行:2023年1月

収載:医学書院 医療情報サービス（2024年5月17日　掲-ID：ken_05009-23_a007b002c006z0007）