診療支援
検査

糖代謝検査の役割と選択基準
植木 浩二郎
(国立国際医療研究センター糖尿病研究センター長)

 糖代謝検査は,主に糖尿病の診断,治療法の決定,治療効果の判定などのために行われる.

●診断のための検査

 糖尿病の診断には慢性の高血糖状態の証明が必要であり,空腹時血糖,随時血糖,75g経口グルコース負荷試験(75g OGTT)を異なる日に行って判断することもできるが,通常はこれらの検査とHbA1cを同時に行うことで診断する.

●病型・病態の評価による治療法決定のための検査

 糖尿病の治療法の選択にあたっては,高血糖の証明のみならず,1型糖尿病,2型糖尿病などの病型や,インスリン抵抗性やインスリン分泌不全の程度などの病態を評価する必要がある.病型の診断は,発症様式などの現病歴や体重歴,口渇・多飲・多尿などの自覚症状,肥満などの他覚症状からも推定できるが,確定診断には抗GAD抗体や抗IA-2抗体などの自己抗体の存在や,血中および尿中のC-ペプチドの定量,または血中インスリン値の測定による内因性インスリン分泌能の評価が必要である.インスリン分泌能の評価には,グルカゴン負荷試験によるC-ペプチドの反応の評価も有用である.空腹時血糖値と血中C-ペプチド値によるC-ペプチドインデックスや空腹時血糖値と血中インスリン値によるHOMA-βは,2型糖尿病におけるインスリン分泌不全の評価に用いられる.インスリン抵抗性の評価には,空腹時血糖値と血中インスリン値によるHOMA-IRがしばしば用いられるが,HOMA-βやHOMA-IRは,インスリン治療中の患者では適正な評価指標とはならない.劇症1型糖尿病を含む1型糖尿病の診断時や,シックデイなどの際にインスリン作用不足によって生じるケトーシス,ケトアシドーシスの評価のためには,尿中・血中のケトン体の測定が必要である.

●治療効果の判定に用いられる検査

 外来診察時に通常,空腹時血糖または随時血糖とHbA1cを測定して,過去1~2カ月間の血糖コントロールの評

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