基準値 5~15μU/mL(空腹時)
測定法 RIA,EIA
検体量
・全血1mL
・血清0.5mL
日数 2~4日
目的 ①内因性膵β細胞量と機能の検索,②糖尿病の病型分類,③糖尿病の治療薬剤の選択
Decision Level
●1μU/mL以下(高度減少)
[高頻度]1型糖尿病 [可能性]2型糖尿病のSU薬二次無効例 [対策]インスリン治療を行う
●1~5μU/mL(軽度減少)
[高頻度]2型糖尿病
●15~30μU/mL(軽度増加)
[高頻度]肥満 [可能性]肝硬変,腎不全 [対策]肥満の場合はインスリン分泌の亢進によるものであり,肝硬変や腎不全の場合はインスリン代謝の低下によるもの
●30μU/mL以上(高度増加)
[高頻度]インスリン抗体(外来性インスリン注射による場合とインスリン自己免疫症候群による場合がある) [可能性]特殊なインスリン抵抗性症候群(異常インスリン血症,インスリン受容体異常A,B,C型,家族性高プロインスリン血症),インスリノーマ [対策]インスリン抗体の有無の検索,強度のインスリン抵抗性をきたす原疾患の検索,膵腫瘍存在の同定
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
1型糖尿病では自己免疫異常により,インスリンを分泌する膵β細胞が破壊されるため,典型的な症例ではインスリンはきわめて低値となる.このような症例には外来性のインスリン注射が必須となる.
2型糖尿病では空腹時のインスリン値は軽度低下~軽度上昇までさまざまであり,75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)においても,負荷後のインスリン反応は低下~過剰反応を示すものまで種々ある.ただ2型糖尿病のインスリン反応の特徴は,負荷後早期のインスリン分泌が遅延することである.
肥満者では糖尿病の有無にかかわらず,高インスリン血症を呈することが多く,これは肥満による末梢でのインスリン抵抗性に対して,膵β細胞からインスリンが過剰分泌されるた