診療支援
検査

グルコース負荷試験〔GTT,OGTT,75g OGTT〕《ブドウ糖負荷試験》   200点
glucose tolerance test,75g oral glucose tolerance test
坂口 一彦
(神戸大学大学院准教授・総合内科学)

基準値

・負荷前血糖値:110mg/dL未満

・負荷後2時間血糖値:140mg/dL未満


測定法 糖質を150g以上含む食事を3日以上摂取した後,朝まで10~14時間の絶食,空腹のままで来院させる.まず採血をした後に,ブドウ糖(無水ブドウ糖75gを水に溶かしたもの,またはデンプン分解産物の相当量,たとえばトレーラン®G)を5分以内で飲用させ,飲み始めてからの時間として,30分,1時間,2時間に採血をし,血糖値とインスリン値(IRI)を測定する


検体量 「グルコース」,「インスリン」の項参照


日数 1~3日


目的 耐糖能の評価,糖尿病の診断


Decision Level

●負荷後2時間血糖値:200 mg/dL以上(糖尿病型)

●負荷後2時間血糖値:140~200 mg/dL (境界型)

 空腹時血糖値および75g OGTTによる判定区分を図64に示す.なお,本邦においては1時間値180mg/dL以上を呈する正常型は境界型に準じて取り扱うとされる


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 経口負荷されたブドウ糖は消化管から門脈を通って肝に到達し,一部は肝で取り込まれる.その後全身の組織,脳,筋肉,赤血球,脂肪に取り込まれる.このうち,筋肉,脂肪へのブドウ糖の取り込みには膵から分泌されたインスリンの作用を必要とする.インスリンはまた肝の糖産生の抑制を行うことで空腹時血糖を制御する働きがある.糖尿病においてはインスリンの分泌不全とともに,インスリン作用臓器におけるインスリン感受性が低下している.糖尿病の診断のみならず,治療においてもこのようなインスリン作用不足の病態分析は重要である.


[関連する検査]

 ①HOMA-IRは空腹時血糖と空腹時のIRIから算出されるインスリン抵抗性指標である.1.6以下が正常,2.5以上でインスリン抵抗性があると判断する.長時間作用のインスリンを皮下注射している場合や空腹時血

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