診療支援
検査

グリコサミノグリカン《酸性ムコ多糖体〔AMPS〕》
glycosaminoglycan《acid mucopolysaccharides》
安田 尚史
(神戸大学大学院教授・保健学研究科)

基準値

・血清グリコサミノグリカン:2.1~6μg/mL

・尿中グリコサミノグリカン排泄量:2~8mg/日(ウロン酸値として)

・グリコサミノグリカンの分子種(表94)


測定法 カルバゾール法(分子種同定:セルロースアセテート膜電気泳動,酵素分析法,ELISA)


検体量 24時間尿(1回尿では中間尿)


日数 21~28日


目的 先天性ムコ多糖症の診断


Decision Level

●基準値の3倍~数十倍(高度増加)

[高頻度]先天性ムコ多糖症(MPS)(Ⅰ型:Hurler症候群,Scheie症候群,Ⅱ型:Hunter症候群,Ⅲ型:Sanfilippo症候群,Ⅳ型:Morquio症候群,Ⅵ型:Maroteaux-Lamy症候群,Ⅶ型:Sly症候群=β-グルクロニダーゼ欠損症),Werner症候群 [可能性]膠原病 [対策]グリコサミノグリカン分子種同定(セルロースアセテート膜電気泳動,コンドロイチナーゼ,ヒアルロニダーゼなどを用いた酵素分析法,ELISA)による診断および治療(一部に対して,骨髄移植,末梢血または臍帯血造血幹細胞移植)

●基準値の1.5~3倍(軽度増加)

[高頻度]膠原病,炎症性疾患,悪性腫瘍 [可能性]先天性ムコ多糖症,Werner症候群 [対策]原疾患の診断と治療,グリコサミノグリカン分子種の同定.低値を示す場合の臨床的意義は少ない.斑状角膜変性症(macular corneal dystrophy)では,血清ケラタン硫酸が検出されない


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 グリコサミノグリカン分解酵素欠損により,細胞内にグリコサミノグリカン代謝中間物が過剰に蓄積した場合や,膠原病,炎症性疾患,腫瘍性疾患により,結合組織代謝の亢進と組織破壊が強い場合に,血中および尿中排泄量が高値を示す.特定の酵素には,基質特異性のため対応するグリコサミノグリカン種が存在し高値を示す(表95).


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