診療支援
検査

β-クロスラプス〔β-CTx,CTX〕《Ⅰ型コラーゲン架橋C-テロペプチド-β異性体》  
β-isomerized C-terminal telopeptide of type 1 collagen
福本 誠二
(徳島大学特任教授)

基準値

・血清β-CTx:0.112~0.738ng/mL(閉経前女性)

・尿β-CTx:40.3~301.4μg/mmol・Cr


測定法

・血清β-CTx:EIA,ECLIA

・尿β-CTx:EIA


検体量

・血清

・尿


日数 不明


目的 骨代謝回転,特に骨吸収状態の把握


NOTE‍ 保険点数:169点(包)(尿),170点(包)(血液).現在,受託検査会社なし


Decision Level

 臨床的には,骨粗鬆症患者の骨吸収抑制薬による治療反応性の指標として使用する場合が多い.この場合,最小有意変化は血清β-CTx(EIA)で23.2ng/mL,血清β-CTx(ECLIA)で27.0ng/mL,尿β-CTxで23.5μg/mmol・Crである

●高値

 骨代謝回転,特に骨吸収の亢進を意味する

[高頻度]原発性副甲状腺機能亢進症,続発性副甲状腺機能亢進症,甲状腺機能亢進症,骨粗鬆症,骨転移,多発性骨髄腫,悪性腫瘍に伴う高Ca血症,骨折後,骨Paget病,テリパラチド投与など [対策]薬剤によるものではない場合には,病因の鑑別を行い,病因に基づく対応を行う

●低値

 骨代謝回転,特に骨吸収の亢進を意味する

[高頻度]ビスホスホネートやデノスマブなどの骨吸収抑制薬の投与,ロモソズマブの投与


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 骨芽細胞は,3重らせん構造を示す中央部分のN端側とC端側に,プロペプチド,テロペプチドを有するⅠ型プロコラーゲンを分泌する.このうちプロペプチド部分が骨芽細胞外で切断され,テロペプチドを含むⅠ型コラーゲンにハイドロキシアパタイト結晶が沈着する.さらにこのⅠ型コラーゲン分子間に,ピリジニウム架橋であるピリジノリン,デオキシピリジノリン架橋が形成される.破骨細胞は酸とプロテアーゼを分泌することにより,それぞれハイドロキシアパタイトとⅠ型コラーゲンなどの骨基質蛋白を分解する.Ⅰ型コラーゲンは,カテ

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