基準値 各検査施設ごとに基準値が設定されているが,基準範囲は30~150pg/mL程度
NOTE これまで採用されている基準値は,健康対照者としてHelicobacter pylori陽性者も含んでいる.今後,H. pylori陰性者が増加するので,H. pylori未感染者を正常コントロールとした基準値の見直しが必要となると思われる.また,近年増加しているプロトンポンプ阻害薬(PPI)やK競合型アシッドブロッカー(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)の長期内服者では,「ガストリン」の高値が持続すると共に胃ポリープの増大や胃粘膜の変化が起きることが知られている
測定法 RIA(PEG法)
検体量 血清0.5mL
日数 2~4日
目的 ①ガストリノーマの診断,②胃カルチノイドの原因精査(萎縮,酸分泌状態を間接的に把握する),③自己免疫性胃炎,悪性貧血の診断
Decision Level
●30pg/mL未満(減少)
[高頻度]胃切除 [対策]経過観察
●150~500pg/mL(軽度~中等度増加)
[高頻度]慢性萎縮性胃炎,胃潰瘍,過形成性ポリープ,胃腺腫,胃癌,腎不全,酸分泌抑制薬(特にP-CABおよびPPI)の投与 [可能性]ガストリノーマ [対策]内視鏡検査,腎不全の検査
●500pg/mL以上(高度増加)
[高頻度]自己免疫性胃炎(A型胃炎),P-CABの投与 [可能性]悪性貧血,ガストリノーマ,糖尿病性胃排出障害 [対策]胃酸分泌能のチェック,内視鏡検査,抗内因子抗体,抗壁細胞抗体検査,糖尿病と自律神経障害の検査
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
血清ガストリンは,胃前庭部に主に存在するガストリン分泌(G)細胞から分泌されるホルモンである.このホルモン分泌は食事などによって刺激されるが,空腹時には胃内のpHによってG細胞からの分泌調節が決定され
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