診療支援
検査

全血凝固時間
blood coagulation time
尾崎 由基男
(笛吹中央病院院長)

基準値 6~15分


測定法 Lee-White法


検体量 血液約2.5mL


目的 全血を用い,主として内因性凝固を評価するスクリーニング


Decision Level

●明らかな延長

[高頻度・可能性]第Ⅷ因子欠乏症(血友病A),第Ⅸ因子欠乏症(血友病B),フィブリノゲン異常症,抗凝血素の存在 [対策]凝固因子,フィブリノゲン測定,補正試験

●軽度延長

[高頻度・可能性]軽度血友病,von Willebrand病,低フィブリノゲン血症,線溶能亢進,抗凝血療法,第Ⅺ因子欠乏症,第Ⅹ因子欠乏症 [対策]活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),血漿Ca再加凝固時間測定,線溶能の評価,凝固因子,フィブリノゲンの測定

●短縮を示す場合

[可能性]血栓症など [対策]手技の欠陥も疑ってみる


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 血液をガラス管に入れると異物表面との接触により,主として内因性凝固因子が活性化される.その後,トロンボプラスチン,トロンビン,フィブリンが生成するまでの時間を計る検査である.全血凝固時間が延長する先天性疾患では,第Ⅷ因子欠乏症が最も多く,次いで第Ⅸ因子欠乏症である.第Ⅻ,Ⅸ,Ⅷ因子の欠乏は,全血凝固時間に大きな影響を与えるが,第Ⅹおよび第Ⅴ因子の影響はやや少ない.第Ⅶ因子は全血凝固時間に全く関与しない.第ⅩⅢ因子欠乏では軽度延長することがあるが,臍帯出血,外傷後の治癒の遷延が特徴的である.反復輸血などにより,凝固因子に対する抗体(抗凝血素)が生じた場合,全血凝固時間は延長することが多い.また,DICなどの線溶亢進状態では,フィブリン分解産物の抗トロンビン作用のため,凝固時間が軽度延長する場合がある.


[関連する検査]

 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)と同様に内因性凝固を評価するスクリーニング検査であり,異常を認める場合は凝固因子などの測定が必要となる.


判読

①先天性凝固異

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