診療支援
検査

C1インアクチベータ《C1インヒビター,C1エステラーゼ抑制因子》   260点
C1 inactivator〔C1INH〕《C1 esterase inhibitor》
水野 正司
(名古屋大学大学院医学系研究科特任教授・腎不全システム治療学寄附講座)

基準値

・70~130%(活性)(LSI)

・21~39mg/dL(定量)(SRL)


測定法

・発色性合成基質法(活性)(LSI)

・ネフェロメトリー法(定量)(SRL)


検体量

・クエン酸血漿0.5mL(活性)(LSI)

・血漿1.0mL(定量)(SRL)


日数

・2~8日(活性)(LSI)

・2~4日(定量,SRL)


目的 血管性浮腫が疑われた場合の測定


NOTE‍ 保険点数:260点(活性),保険外(定量)


Decision Level

●基準値以下

[高頻度・可能性]遺伝性血管性浮腫(C1インアクチベータの先天的欠損または機能不全),後天性血管性浮腫(悪性腫瘍や自己免疫性疾患に伴うもの)


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 C1インアクチベータはプロテアーゼインヒビターであり,C1インヒビター(C1INH)やC1エステラーゼ抑制因子とも呼ばれている.C1インアクチベータは,補体活性系への直接作用としては,補体因子C1のサブセットのC1qとC1r C1sの複合体形成を抑制することで古典経路を制御する因子である.また凝固系にも働くことが知られており,第Ⅻa因子,第Ⅺa因子,血漿カリクレインなどの内因系凝固因子を強く阻害し,プラスミンも阻害することから,キニン生成系や凝固系,補体系,線溶系の制御と幅広く関与している.このため,C1INHの異常は,キニン生成系や凝固系,補体系,線溶系の制御に影響すると考えられる.実際には,C1INHの検査で重要な疾患は遺伝性血管性浮腫〔hereditary angioedema;HAE(以前はHANE)〕である.HAEでは酵素阻害活性は0~30%と低下する.抗原量ではⅠ型は正常の蛋白量の30%以下であるが,Ⅱ型は100~200%の高値を示す.


[感度・特異度]

 妊娠,産褥期に変動し,特に妊娠後期において著しく減少する.劇症肝炎などでは生成能の低下による減少が,体外循環時,多

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