基準値 陰性
測定法 冷却沈殿法
検体量 37℃で採血,凝固,遠心して得た血清1mL
日数 4~6日
目的 クリオグロブリン血症の診断
Decision Level
●陽性(クリオグロブリンの検出)
[高頻度・可能性]本態性クリオグロブリン血症,多発性骨髄腫,マクログロブリン血症,リンパ増殖性疾患,その他の悪性腫瘍,膠原病,自己免疫疾患〔全身性エリテマトーデス,関節リウマチ,全身性強皮症,多発性筋炎,Sjögren症候群,クリオグロブリン血管炎,紫斑病性腎炎など〕,感染症(亜急性細菌性心内膜炎など),肝疾患(C型肝炎) [対策]原疾患の精査と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
クリオグロブリンとは,37℃以下に冷却すると白色沈殿物を形成し,37℃に再加温すると溶解する血清の異常蛋白のことで,その本体はリウマチ因子を中心とする免疫グロブリンである.
クリオグロブリンを形成する免疫グロブリンが単クローン性(Ⅰ型)か多クローン性(Ⅲ型)か混合型(Ⅱ型)かにより3タイプに分類される.Ⅰ型,Ⅱ型には多発性骨髄腫などリンパ増殖性疾患が多く,Ⅲ型には膠原病や肝疾患,感染症が多い.クリオグロブリンが存在すると,レイノー(Raynaud)現象,関節痛,寒冷じんま疹,紫斑,皮膚潰瘍や腎炎などの血管炎症状を呈しやすい(クリオグロブリン血管炎).低温で,なぜ沈殿物を形成するかは不明である.
[関連する検査]
クリオグロブリン血症ではCH50が低下することが多い.補体成分ではC4の低下が顕著であることが特徴であり,C3も低下するが軽度にとどまる.またクリオグロブリン血症の患者では,採血後に試験管内で補体が活性化し,cold activation(CH50 が低下し,C3,C4は正常)と呼ばれる現象がみられることがある.EDTA採血を行うことで,cold activationを回避できる.
判読
①沈殿物が再加温で可
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