基準値 94~150mg/dL
測定法 免疫比朧法(ネフェロメトリー)
検体量 血清0.4mL
日数 2~4日
目的 肺気腫や肝硬変の危険因子としての測定
Decision Level
●50mL/dL以下(高度減少)
[高頻度]α1-アンチトリプシン欠乏症(重症) [対策]α1-アンチトリプシン欠乏症を疑い,呼吸機能検査,胸部画像検査を施行
●50~94mg/dL(軽度~中等度減少)
[高頻度・可能性]α1-アンチトリプシン欠乏症(軽症),新生児呼吸促迫症候群,劇症肝炎,蛋白漏出性胃腸症,ネフローゼ症候群,栄養不良,移植腎の早期拒絶反応 [対策]肝酵素,総蛋白,アルブミン,蛋白尿を検査
●150mg/dL以上(増加)
[高頻度・可能性]感染症,悪性腫瘍,膠原病,妊娠,外科手術,急性呼吸促迫症候群,薬剤(エストロゲン,経口避妊薬,プロスタグランジン,ステロイド)
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
α1-アンチトリプシンは肝臓で生合成されるプロテアーゼインヒビターであり,炎症に際してその合成が促進される急性相反応物質の1つでもある.したがって,感染症や,膠原病などの炎症性疾患において異常高値を示す.また,悪性腫瘍においても腫瘍に関連するサイトカインなどによってその合成が促進すると考えられ,腫瘍の増大や,転移とも相関する.α1-アンチトリプシンの先天的欠乏症は,肺気腫や肝硬変の危険因子とみなされている.若年期より肺気腫や肝硬変を認めたら,α1-アンチトリプシンを測定してみるとよい.肝臓で合成される蛋白であるから,高度の肝障害において低値を示す.ネフローゼ症候群や,蛋白漏出性胃腸症にみられる異常低値は体外への喪失である.
判読
①生下時で成人の70%,生後3週で成人とほぼ同値になる.②性差,日内,日差,季節の変動はない.③他の炎症指標や,腫瘍マーカーと対比する.④異常値を示す薬剤の使用に注意する.
採取保存
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