診療支援
検査

抗β2グリコプロテインⅠ抗体〔抗β2-GPⅠ抗体〕   226点
anti-β2-glycoprotein Ⅰ antibody
梶山 浩
(埼玉医科大学講師・リウマチ膠原病科)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値

・抗β2グリコプロテインⅠIgG抗体:0.7U/mL未満

・抗β2グリコプロテインⅠIgM抗体:17.5U/mL以下


測定法 CLEIA法,CLIA法


検体量 血清0.3mL


日数 2~4日


目的 抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断


Decision Level

●陽性(抗β2グリコプロテインⅠ IgG抗体0.7U/mL以上)

●陽性(抗β2グリコプロテインⅠ IgM抗体17.5U/mL以上)

[高頻度]原発性APS,全身性エリテマトーデス(SLE),その他の2次性APS [可能性]Sjögren症候群,全身性硬化症(SSc),血小板減少性紫斑病(TTP),溶血性貧血,関節リウマチ(RA) [対策]原疾患の診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 抗カルジオリピン(CL)-β2-グリコプロテイン(GP)Ⅰ複合体抗体は,固相化されたCLにβ2-GPⅠを添加し,CL-β2-GPⅠ複合体を形成させた後,検体中の抗CL-β2-GPⅠ複合体抗体を検出する検査だが,抗β2-GPⅠ抗体はCLを用いずβ2-GPⅠを直接アッセイプレートに固相化し,検体中の抗β2-GPⅠ抗体を検出する検査である.2006年に報告されたinternational consensus statementに記載されているAPSの新しい分類基準(改訂札幌・Sydney基準)においては,抗CL-β2-GPⅠ複合体抗体ではなく,血清あるいは血漿中に抗β2-GPⅠ-IgG抗体,抗β2-GPⅠ-IgM抗体が,少なくとも12週あけて2回以上,コントロールの99パーセンタイル以上で存在することが検査基準とされている.本邦でも2020年7月に抗β2-GPⅠ-IgG抗体,抗β2-GPⅠ-IgM抗体が抗CL-IgG抗体,抗CL-IgM抗体とともに4抗体同時測定の検査として保険収載され,国際基準に沿ってAPSの診断をすることが可能となった.抗

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