診療支援
検査

抗内因子抗体
anti-intrinsic factor antibody
吉田 佳弘
(日本赤十字社小川赤十字病院リウマチ科部長)
三村 俊英
(埼玉医科大学教授・リウマチ膠原病科)

基準値 陰性


測定法 CLEIA法


検体量 血清1mL


日数 2~5日


目的 悪性貧血の診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]悪性貧血 [可能性]高度な萎縮性胃炎 [対策]胃内視鏡,血液検査などによる診断と治療


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 内因子は胃壁細胞から分泌される糖蛋白(分子量:44,000)であり,これに対する自己抗体が抗内因子抗体である.内因子はビタミンB12の吸収に必須であり,内因子と複合体を形成することでビタミンB12は回腸粘膜の受容体を介して吸収される.ビタミンB12はDNA合成には必須であり,抗内因子抗体によるビタミンB12の吸収障害とその欠乏は体内の細胞分裂を障害する.骨髄内の造血の場においては巨赤芽球性貧血を生じさせ,さらには汎血球減少を呈するようになる.またHunter舌炎に代表されるような粘膜障害なども生じてくる.他方,ビタミンB12欠乏は神経障害も招く.

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