基準値 陰性
測定法 CLEIA法
検体量 血清1mL
日数 2~5日
目的 悪性貧血の診断
Decision Level
●陽性
[高頻度]悪性貧血 [可能性]高度な萎縮性胃炎 [対策]胃内視鏡,血液検査などによる診断と治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
内因子は胃壁細胞から分泌される糖蛋白(分子量:44,000)であり,これに対する自己抗体が抗内因子抗体である.内因子はビタミンB12の吸収に必須であり,内因子と複合体を形成することでビタミンB12は回腸粘膜の受容体を介して吸収される.ビタミンB12はDNA合成には必須であり,抗内因子抗体によるビタミンB12の吸収障害とその欠乏は体内の細胞分裂を障害する.骨髄内の造血の場においては巨赤芽球性貧血を生じさせ,さらには汎血球減少を呈するようになる.またHunter舌炎に代表されるような粘膜障害なども生じてくる.他方,ビタミンB12欠乏は神経障害も招く.
なお抗内因子抗体には内因子とビタミンB12との結合を阻害する阻止抗体(Ⅰ型抗体)と,内因子に結合し,内因子-ビタミンB12複合体の回腸粘膜からの吸収を阻害する結合抗体(Ⅱ型抗体)とがある.通常阻止抗体が抗内因子抗体として測定され,悪性貧血の約70%で阻止抗体が陽性である.抗壁細胞抗体とは異なり疾患特異性は高い.抗内因子抗体や抗壁細胞抗体が検出される胃炎が自己免疫性胃炎であり,A型胃炎とほぼ同義である.胃体部を中心とした萎縮性胃炎を呈する.
[関連する検査]
抗壁細胞抗体:悪性貧血患者において高頻度に検出されるものの,疾患特異性の点で劣る.
判読
年齢,性差,食事との関係が問題になることは少ない.
採取保存
血清凍結保存.
薬剤影響
ビタミンB12摂取による影響の可能性があるので,摂取後2日以内の検体は使用しない.
測定前後の患者指導
ビタミン剤内服の有無を確認してから検体採取.
推奨する総説
今福裕
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