診療支援
検査

腫瘍壊死因子α〔TNF-α〕《カケクチン》
tumor necrosis factor-α
三﨑 義堅
(京都桂病院・膠原病リウマチ科部長)

基準値 0.6~2.8pg/mL


測定法 ELISA


検体量 血清1mL


日数 1日


目的 敗血症性ショックや種々の炎症性疾患におけるTNF-αの病態形成への関与の推定


Decision Level

●高値(上昇)

[可能性]関節リウマチ,川崎病,炎症性腸疾患,細菌感染症,全身性炎症反応症候群(SIRS)


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)は,腫瘍細胞を壊死させる作用のある物質として発見されたが,現在では腫瘍だけでなく,炎症や感染などに対する生体防御機構で重要な役割を果たすサイトカインであることが判明している.TNFには,主として単球,マクロファージにより産生されるTNF-α(157個のアミノ酸からなる)と,活性化Tリンパ球により産生されるTNF-β(171個のアミノ酸からなる)とがある.TNF-αは,マクロファージ,リンパ球,好中球や血管内皮細胞を活性化し,それらの細胞からサイトカインや炎症性メディエーターの放出を促進したり,走化性や貪食能を高める.こうした反応は感染防御としては合目的的であるが,種々の病態でこのTNF-αによる生体反応の修飾が病態増悪に関与していることが判明している.

 細菌性敗血症性ショックにおいてTNF-α高値例の予後が悪いとされており,重症度把握に有用である.炎症性腸疾患,関節リウマチ,川崎病などの疾患でも血清中や関節液中のTNF-α濃度が高いことが知られており,TNF-αが好中球や破骨細胞活性化ならびに滑膜細胞増殖を促進することにより,これらの病態形成に関与していると考えられ,このTNF-αの作用を阻止する治療法が開発されてきた.実際,これらの疾患でTNF-αに対する抗体や可溶性TNFレセプターを投与すると病態が改善することがわかっており,これらの疾患での重要な治療法の1つとなりつつある.

 またハ

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