診療支援
検査

血液型検査   24点
★★★
blood groups test
三﨑 義堅
(京都桂病院・膠原病リウマチ科部長)

基準値

・ABO式血液型検査:判定を表126に示す

・Rh式血液型検査:判定を表127に示す


測定法 スライド法,試験管法


検体量

・ABO式:全血1mL

・Rh式:全血1mL


日数 当日


目的 ABOおよびRh式血液型の判定による不適合輸血の防止


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

■ABO式血液型検査(検査手技はを参照)

 患者血球の抗原を調べるオモテ試験,患者血清中の抗A,抗B抗体の存在を調べるウラ試験の両方を実施し,その結果の一致により血液型を判定する.しかし一致しない場合もある.特に新生児では一致しない例が多い.

 ABO型の各型の頻度は日本人において,ほぼA:O:B:AB=4:3:2:1である.

 なお輸血の場合は,必ず交差試験を行うこと.

NOTE‍ 血液型誤判定と医療事故

 異型輸血による医療事故が後を絶たない.輸血の発注から実施までの種々の段階での過ちが事故につながる.特に,血液型やクロスマッチの誤判定は事故に直結する.個々人の注意も重要であるが,システムとして予防することが最も重要である.

NOTE‍ オモテ・ウラ試験不一致の原因

●赤血球側の原因

①抗原性が弱い場合.②悪性腫瘍など疾病による抗原性の低下.③自己免疫疾患による血球の抗体感作.④汎凝集反応.⑤ABO不適合輸血.⑥胃癌,卵巣腫瘍による抗A,抗B血清の中和.

●血清側の原因

①不規則性抗体の存在.②低γ-グロブリン血症による抗体欠如.③骨髄腫やデキストラン投与後の連銭形成.④新生児の胎盤通過性母親由来抗体の存在.⑤新生児(抗A,抗B抗体の未産生).⑥O型血液を他の血液型患者へ輸血後.

●技術的な問題

①抗血清の力価低下.②血球浮遊濃度.③溶血反応の見落とし.④遠心法.⑤試験管の振り方.⑥反応温度と時間の誤り.⑦フィブリン析出.⑧細菌汚染など.

●事務的な問題

①試験管の取り違い.②記載ミスなど(輸血事故の原因は,技術的な判定ミスより事

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?