診療支援
検査

交差適合試験《血液交差試験》   30点
★★★
cross matching test
三﨑 義堅
(京都桂病院・膠原病リウマチ科部長)

基準値 判定を表128に示す


測定法 生理食塩水法,ブロメリン法,アルブミン法,間接抗グロブリン法,低イオン強度塩類溶液法(LISS)など


検体量 全血1~2mL(輸血量により必要検体量が異なる)


日数 当日


目的 ABO式およびRh式検査では見出せない抗体による副作用の防止


Decision Level

(検査手技はを参照)

 輸血できるのは,主試験:陰性,副試験:陰性の場合のみ


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 交差適合試験には次の2つの試験がある.

●主試験:患者(受血者)血清+供血者血球

●副試験:患者(受血者)血球+供血者血清

 交差適合試験は血液型不適合による輸血時の副作用を防止するために,ABO式,Rh式の同型血液を選び,併せて行う.

 生理食塩水法は完全抗体(主にIgM)を,ブロメリン法,アルブミン法,間接抗グロブリン法(間接Coombs法),低イオン強度塩類溶液法(LISS)などは不完全抗体(主にIgG)を検出する.

NOTE‍ タイプアンドスクリーン(Type and Screen;血液型検査と不規則性抗体スクリーニング)

 輸血するかどうか未定の患者に,①ABO式,Rh式(Rh0,D)血液型検査(すなわちtype)と,②不規則性抗体の有無の確認(すなわちscreen)をしておけば,Rh陽性で不規則性抗体がない場合は,緊急輸血の必要が生じた場合,交差適合試験を省略することもできる.また,患者に不規則性抗体があることがわかれば,事前に適合血液の選択が可能となる.したがって,タイプアンドスクリーンを交差適合試験前に実施することは,適切な対策を事前に立てられるとともに,交差適合試験に費やす時間の削減(緊急輸血に有用),輸血用血液の過剰なストック,費用,労力などの無駄を省くことにつながる.


[関連する検査]

 「血液型検査」の項参照


採取保存

①受血者血液には抗凝固剤を入れずにガラス試験

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