診療支援
検査

抗抗酸菌抗体 抗MAC抗体   116点
anti-MAC antibody
石田 景子
(虎の門病院臨床感染症科)
荒岡 秀樹
(虎の門病院臨床感染症科部長)

基準値 0.7U/mL以下


測定法 ELISA法


検体量 血清0.2~0.5mL


日数 3~5日


目的‍ Mycobacterium avium complex(MAC)細胞壁由来GPL core抗原に対する抗GPL core IgA抗体の検出によるMAC症の補助診断


Decision Level

●0.7U/mL以上

[高頻度]MAC症 [可能性]M. abscessusM. scrofulaceumM. fortuitumM. chelonaeもGPLを保有することに注意が必要である [対策]培養検査や遺伝子検査などで,微生物の同定を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 GPL(glycopeptidolipid) core は,MACの細胞壁を構成する主要な糖脂質抗原で,結核菌やM. kansasiiには存在しない.抗GPL core IgA抗体を測定することで,培養に時間のかかる抗酸菌の補助診断に役立つ.


[感度・特異度]

 感度84.3%,特異度〔肺結核およびその他の胸部疾患(肺癌,間質性肺炎,慢性閉塞性肺疾患,サルコイドーシス)との鑑別における無病正診率〕100%.


[関連する検査]

 必要に応じて他の抗酸菌関連検査(培養検査,遺伝子検査)と併せて判断する.なお,結核菌,非結核性抗酸菌ともに有するTBGL抗原に対する抗TBGL抗体の検査試薬は不正確で誤診が多いため販売中止となっている.


判読

 確定診断は臨床症状や画像診断法・培養法など,他の検査結果と併せて総合的に判断して行う.


採取保存

 検体は採血後速やかに測定する.長期保存する場合には密栓をして-20℃ 以下で凍結保存する.なお,凍結,融解は繰り返さない.


薬剤影響

 明らかな妨害物質や薬剤は知られていない.


保険注意

 金コロイド免疫測定法またはEIA法により実施した場合に算定する.


推奨する総説

 猪狩英俊:抗酸菌感染症診断法の進歩.

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