診療支援
検査

肺炎球菌抗原定性(尿・髄液)   146点
Streptococcus pneumoniae antigen in cerebrospinal fluid and urine
井田 陽子
(杏林大学医学部付属病院・臨床検査部)

基準値 陰性


測定法 ラテックス凝集法(LA)


検体量 脳脊髄液(0.5mL以上),または培養した集落


日数

・院内検査:約20分

・院外検査:2~3日


目的 肺炎球菌による髄膜炎の迅速診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]細菌性髄膜炎 [対策]抗原検査と同時にグラム染色および分離培養を行う.治療は第1選択薬としてペニシリンであるが,ペニシリン耐性があれば第3世代セフェム系抗菌薬や,カルバペネム系抗菌薬などが用いられる.現在,肺炎球菌感染症の予防対策としてワクチンを接種することが可能である.ワクチンの種類は小児用肺炎球菌ワクチン(PCV13)と成人用ワクチン(PPSV23あるいはPCV13)がある


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 LAは本菌が有する多糖体莢膜の特徴である可溶性および耐熱性を利用した検査法である.

 肺炎球菌による化膿性炎症は,大葉性肺炎,副鼻腔炎,中耳炎,髄膜炎,敗血症,膿胸,乳腺炎,眼結膜炎などさまざまな感染症の原因菌となりうる.肺炎球菌は,病原因子の1つである莢膜の抗原性の違いにより93種以上の血清型に分類されている.感染症を引き起こす血清型は,1,2,3,4,5,6,7,8,9,12,14,18,19,20,23,25型が認められ,これら以外の血清型による疾病はまれである.

 化膿性髄膜炎は早期に適切な抗菌薬療法を開始しなければ,致死率も高くなるため迅速病因診断がきわめて重要である.

 本菌の細胞壁由来の抗原として,C多糖体がある.C多糖体は炎症疾患(本菌の感染に関係なく)や癌の組織崩壊などの際,これと非特異的に反応する蛋白であるC反応性蛋白(CRP)が,血清中のβ-グロブリン分画に出現し,炎症の経過観察の際に利用される.


[感度・特異度]

 莢膜非形成の肺炎球菌による髄膜炎では陰性となるので,培養検査を併せて行う必要がある.


[見逃してはならない異常値]

 髄液を

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