診療支援
検査

アスペルギルス抗原   157点
Aspergillus antigen
加藤 維斗
(国立病院機構東京医療センター・臨床検査科)
小林 昌弘
(国立病院機構東京医療センター・臨床検査科)

基準値

●カットオフインデックス値

・0.5未満:陰性

・0.5以上:陽性


測定法 ELISA


検体量 血清0.7mL


日数 2~8日


目的 侵襲性アスペルギルス症の補助的診断


Decision Level

[高頻度]侵襲性肺アスペルギルス症 [対策]臨床所見,画像所見と併せてアムホテリシンBなどのアスペルギルス症に効果のある抗真菌薬の投与を考慮する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 血清中の可溶性アスペルギルス抗原(ガラクトマンナン抗原)に対するモノクローナル抗体を利用したELISAによる検査である.測定感度はガラクトマンナン濃度として0.5ng/mL.侵襲性アスペルギルス症において,抗体検査の陽性率は低いが抗原検査での感度は高い.一方,肺アスペルギローマのような慢性アスペルギルス感染症では,ガラクトマンナン抗原は検出されにくい.

 なお,アスペルギルス属だけでなくPenicillium属,Alternaria属などで交差反応が認められている.そのため投与量によっては,Penicillium属の培養上清由来の物質を原料とする半合成抗菌薬(PIPC,PIPC/TAZなど)に反応する可能性がある.

 また,ガラクトマンナンは植物の種子(特に豆類)に多く含まれており,消化管粘膜の損傷した患者では血液中に移行し,偽陽性を示すことがある.ガラクトマンナン抗原は血中クリアランスが高いことから,頻回測定が必要とされているが,感度・特異度とも高く,侵襲性アスペルギルス症の補助的診断・経過観察に有用である.


[関連する検査]

①真菌培養検査,β-D-グルカン検査,アスペルギルス抗体検査との関連がある.②アスペルギルスの培養検査の陽性率は低いことから,本抗原検査の有用性は高い.


採取保存

 冷蔵保存(4℃以下).


薬剤影響

 菌体抗原をターゲットとしているため,抗真菌薬による影響はない.


保険注意

①LA法またはELISA法によ

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