診療支援
検査

B型肝炎ウイルスコア関連抗原〔HBcrAg〕   259点(包)
hepatitis B virus core-related antigen quantification
小池 和彦
(関東中央病院院長)

基準値 3.0log U/mL未満


測定法 CLEIA法


検体量 300μL


日数 1~2日


目的 B型肝炎ウイルス(HBV)感染の診断の補助および治療効果の判定


Decision Level

●3.0log U/mL以上(高値)

[高頻度・可能性]B型肝炎 [対策]B型慢性肝炎の抗ウイルス治療を行うかどうかを判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 測定限界である3.0log U/mL以上で血清中のHBVの存在を示す.無治療例ではHBV-DNA値とよく相関しており,HBV感染症の診断とモニタリング指標として使用される.HBV-DNAに比して短時間で測定可能であり,検査の迅速化が期待される.

 測定対象となるHBcrAgは,HBe抗原,HBc抗原,および分子量22kDのp22crと呼ばれるHBVプレコア蛋白の3種類である.サンプルを界面活性剤で処理した後,共存する抗体を失活させ,モノクローナル抗体を用いた2ステップサンドイッチ法にて測定される.

 ラミブジン,アデホビル,エンテカビル,テノホビルなどの逆転写酵素阻害薬(核酸アナログ)によるB型慢性肝炎治療時には,投薬休止の指標,耐性株出現の指標として有用と考えられている.逆転写酵素阻害薬による治療時には,HBV-DNAが検出感度未満となった場合でも薬剤の中止によって肝炎の再燃が起こりうるが,HBcrAgが検出感度未満となった場合には薬剤中止後も再燃が起こりにくいことが知られている.また,核酸アナログ治療中止後,肝炎再燃者では非再燃者に比して有意にHBcrAgが高値(4.9vs3.2,p=0.009)であることが示されている.


[感度・特異度]

 HBV-DNA測定に比べ感度は劣るので,HBV感染の有無の判断には使用できない.


[関連する検査]

 本検査はHBV-DNAに比べて感度は劣るが,逆転写酵素阻害薬投与時の病勢判断に適している.


判読

①測定限

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