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検査

アデノウイルス抗原 咽頭粘膜上皮細胞中アデノウイルス抗原   184点
adenovirus antigen
栁原 克紀
(長崎大学大学院教授・臨床検査医学)

基準値 陰性


測定法 イムノクロマト法


検体量 咽頭ぬぐい液


日数 院内検査:15分


目的 アデノウイルスによる上気道炎の診断


Decision Level

●陽性

[高頻度]急性熱性咽頭炎,咽頭結膜熱(PCF) [対策]特に冬期にはインフルエンザウイルスおよび他の下痢症ウイルスなどとの鑑別が重要.必要により,ウイルス分離,アデノウイルスDNA検出を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 アデノウイルスは54の血清型からなるDNAウイルスで,多彩な病像を示す.上気道炎を起こすのは主に,1,2,3,5型で,さらに近年では7型による重症肺炎が報告され定着している.胃腸炎,角結膜炎などの症状も呈し,ときとして重篤な全身感染症を引き起こすことがある.アデノウイルスの特徴は,不顕性感染となりやすく潜伏感染を起こしやすいので,容易に保菌者となりえ,予防が困難なことである.いったん感染すると,型特異的免疫が持続する.アデノウイルスに共通する抗原に対する抗体に金コロイドを標識したイムノクロマトグラフィー法による抗原検出が可能となった.型別は不能であるが,簡便,迅速に,他のウイルス感染との鑑別が可能である.


[感度・特異度]

 分離培養法と比較した感度は72.6~87.9%,特異度は93.7~100%である(チェックAd,クリアビュー アデノ).


[関連する検査]

 必要によりアデノウイルス抗体測定,ウイルス分離培養,遺伝子検査(PCR法,LAMP法)を行う.


判読

①発症から4日以内の検体採取が推奨されている.②咽頭粘液の採取手技により,検出感度が左右される.③迅速診断キットの特異度は高いが,検出感度はウイルス分離やPCR法に比べやや劣るため,偽陰性の可能性も考慮する必要がある.


採取保存

 専用容器にて,乾燥しないよう密閉して冷蔵.


保険注意

 咽頭粘膜上皮細胞中および角結膜上皮細胞中ともに,保険上はアデノウイルス抗原定

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