基準値 陰性
測定法 イムノクロマト法
検体量 水疱,潰瘍またはびらんから擦過した上皮細胞
日数 15分
目的 水疱,潰瘍またはびらん中の単純ヘルペスウイルス(HSV)抗原の検出(性器ヘルペスウイルス感染症の診断補助)
Decision Level
[高頻度]性器ヘルペスウイルス感染症 [対策]検出限界を考慮し,性器ヘルペスを疑うが陰性の場合で抗原検出が必要な場合,ウイルス分離,PCR法などを試みる.他のウイルス,細菌,真菌との重複感染,二次感染を考慮する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
HSVは,エンベロープをもつDNAウイルスで,1型と2型の亜型に分類される.1型は主に口唇あるいは手指などに感染し,2型は主に性器や臀部などに感染し有痛性の水疱や潰瘍を生じるが,1型,2型とも口唇や性器に病変を起こすことがあり,厳密ではない.口唇周辺に病変を起こすものを口唇ヘルペス,性器周辺に病変を起こすものを性器ヘルペスと呼ぶ.性器ヘルペスは,外部から入ったウイルスによる初感染と,仙髄神経節に潜伏感染したウイルスの再活性化による場合とがあり,HSV-2型による感染はHSV-1型による感染よりも再発しやすい.また,妊娠中発症した母から,出産時に母子感染で新生児に感染することがある.本法は性器ヘルペスウイルス感染の検出を目的とし,イムノクロマトグラフィーを用いた迅速診断法である.
[関連する検査]
①抗体価測定については,HSV-1抗体は幼少期の感染との区別ができないため,性器ヘルペスウイルス感染症診断の有用性は低い(しかし,初感染の場合は,急性期陰性,回復期陽転するのでペア血清で測定の場合には有用のこともある).②ウイルス抗原の直接検査法としては他に,病巣上皮擦過物中のウイルス抗原と抗体反応を利用した蛍光抗体法がある.ウイルス分離と比べ迅速性,感度,特異性ともに高く,型別も可能であるが,蛍光顕微鏡が必要
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