診療支援
検査

CEA(癌胎児性抗原)   99点(包)
★★
carcinoembryonic antigen
日野田 裕治
(札幌しらかば台病院顧問)
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)

基準値 5ng/mL以下


測定法 CLIA,ECLIA,CLEIAなど


検体量 血清0.2~0.3mL


日数 2~4日


目的 大腸癌をはじめとする腺癌のマーカー


Decision Level

●5~10ng/mL(軽度増加)

[高頻度]結腸・直腸癌,膵・胆道癌,肺癌,胃癌,甲状腺髄様癌,乳癌,泌尿器癌,子宮癌,肝細胞癌,食道癌,卵巣癌 [可能性]腹膜偽粘液腫,急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,閉塞性黄疸,膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍,炎症性腸疾患,胃潰瘍,胃炎,憩室炎,慢性気管支炎,肺疾患,良性乳腺疾患,甲状腺機能低下症,腎不全,糖尿病,加齢,長期喫煙 [対策]消化器癌を中心とした精査を行い,良性疾患,年齢,喫煙の影響などを除外する.便潜血反応,消化管内視鏡検査,腹部エコー,CT検査などを行い,癌を確認できない場合にはCEAを再検し,経過を観察することが重要である.同時に偽陽性の可能性も常に念頭におくべきである.癌術後患者のCEA値の上昇は,肝などへの転移,局所再発の可能性を示唆し,精査により,二次的な根治手術を含めた治療方針を決定する

●10ng/mL以上(高度増加)

[高頻度]結腸・直腸癌,転移性肝癌,膵・胆道癌,肺癌,胃癌 [可能性]甲状腺髄様癌,ムチン性卵巣腫瘍 [対策]癌の存在が強く示唆されるので消化器を中心にさらに厳密な検査を行う.癌術後患者のCEA値の高度の上昇は,肝転移を強く示唆し,肝を含めた精査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 1965年Goldらにより見出された胎児消化管粘膜と共通の抗原性を有する糖蛋白であり,内胚葉由来の消化管粘膜の癌化に際して特異的に出現することから,消化器癌を中心に代表的マーカーとして血清診断に広く応用されてきた.正常大腸粘膜でもCEA産生があるが管腔側に分泌されて血中に移行する量は正常では微量であるのに対し,癌などでは血中に入りやすく,癌の脈管浸潤

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