診療支援
検査

組織ポリペプチド抗原〔TPA〕   110点(包)
tissue polypeptide antigen
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)

基準値 70U/L未満


測定法 IRMA(ビーズ固相法)


検体量 血清0.5mL


日数 3~5日


目的 癌の治療効果判定,再発,転移の指標,予後の推測


Decision Level

●70U/L以上(増加)

[高頻度]乳癌,肺癌,胃癌,大腸癌,原発性肝癌,胆道癌,膵癌,膀胱癌,前立腺癌,精巣(睾丸)腫瘍,卵巣癌,子宮頸癌,甲状腺癌,肉腫,悪性黒色腫,リンパ腫,白血病 [可能性]食道癌,肝炎,肝硬変,胆道感染症,膵炎,肺炎,肝膿瘍,尿路感染症,妊娠,多飲酒,手術侵襲 [対策]他の臓器特異的な腫瘍マーカー(CEA,AFP,CA15-3など)の測定,画像診断,血液学的検査を行う


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 TPAはさまざまな悪性腫瘍の細胞膜や細胞質内小胞体に存在する共通抗原として同定された単鎖ポリペプチドである.その後の研究により,TPAはサイトケラチンであることが明らかになった.悪性腫瘍の増殖活性に相関して増加する.TPAは臓器特異性に乏しく,良性疾患でも上昇することから早期診断における有用性は少ないが,腫瘍量,病勢,病期と関連して増減するため,治療効果の判定,再発,転移の指標,予後の推測などに有用であると考えられる.特に,再発,転移の場合,血清TPA値の上昇が臨床症状や局所所見に先行することがある.


[関連する検査]

 他の腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,AFP,CA15-3など),画像診断と併せて総合的な診断を行う.


判読

①喫煙,食事,月経周期による影響はないが,妊娠,多量の飲酒により上昇する場合がある.②膵炎,肝炎,肝硬変,腎不全,糖尿病,全身性エリテマトーデス,肺炎などの背景がある患者では偽陽性となるので注意する.


採取保存

①通常の血清分離後,-20℃で保存.②唾液による汚染で異常高値を示す場合があるため,取り扱いに注意が必要.


推奨する総説

 白鳥史明ほか:腫瘍マーカー検査 組織ポリ

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