診療支援
検査

シアリルSSEA-1《シアリルLex-i抗原〔SLX〕》   144点(包)
sialyl stage-specific embryonic antigen-1《sialyl Lewisx-i antigen》
日野田 裕治
(札幌しらかば台病院顧問)
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)

基準値 38U/mL以下


測定法 IRMA


検体量 血清0.2~0.3mL


日数 2~4日


目的 肺癌をはじめとする腺癌のマーカー


Decision Level

●38~224U/mL(軽度~中等度増加)

[高頻度]肺癌(腺癌>非腺癌),膵癌,胆道系癌,卵巣癌 [可能性]食道癌,胃癌,大腸癌,肝癌,腎細胞癌,子宮癌,子宮筋腫,卵巣良性腫瘍,慢性肝疾患,慢性肺疾患,膵炎 [対策]悪性腫瘍の存在を想定し,各種画像診断,他の腫瘍マーカーの併用により診断を確定する.また本抗原高値の癌は転移を生じやすいと考えられるので,陽性の場合は原発巣の大きさにかかわらずリンパ節および血行性転移の有無を精査する

●224U/mL以上(高度増加)

[高頻度]肺腺癌 [可能性]腺癌以外の肺癌,膵癌,胆道系癌,胃癌,肝癌,卵巣癌 [対策]高度増加の場合,悪性腫瘍の存在が強く示唆され,特に可能性の高い肺腺癌の存在を想定し画像検査などを実施する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 SSEA-1はマウスの初期胚に特徴的に発現する癌胎児性抗原で,ムチン型糖鎖である.SSEA-1は悪性腫瘍で種々の修飾を受けるが,その代表がシアリルSSEA-1(SLX)である.本抗原はE-セレクチンのリガンドであることが判明しており,正常組織における炎症反応,癌細胞の転移能に関与している可能性がある.臨床的にはSLXは主として肺腺癌,卵巣癌,膵癌の血清診断に用いられるが,エピトープが2型糖鎖(Galβ1→4GlcNAc)であるので1型糖鎖(Galβ1→3GlcNAc)をエピトープとするCA19-9,CA50と相関がなく,組み合わせ使用が診断能向上に有用である.肺癌の質的診断の補助,治療効果のモニタリング,再発診断の補助として行うよう勧められる.


[関連する検査]

 1型糖鎖抗原(CA19-9,CA50,DU-PAN-2,SPan-1)と相関しないため,腺

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