診療支援
検査

神経特異エノラーゼ〔NSE〕   142点(包)
neuron specific enolase
今井 浩三
(札幌しらかば台病院 先端医療研究センター所長/札幌医科大学名誉教授)
安井 寛
(聖マリアンナ医科大学特任准教授・内科学(血液・腫瘍内科))

基準値

・10ng/mL未満(RIA)

・9ng/mL未満(EIA)


測定法 RIA,IRMA,EIA,ECLIA,CLEIA


検体量 血清0.3mL


日数 2~5日


目的 肺小細胞癌,神経内分泌系腫瘍の腫瘍マーカー


Decision Level

●10ng/mL以上(増加)

[高頻度]神経芽細胞腫,肺小細胞癌(特に,燕麦細胞癌) [可能性]非小細胞肺癌,乳癌,卵巣癌,食道癌,胃癌,膵癌,大腸癌,甲状腺髄様癌,褐色細胞腫,ガストリノーマ,インスリノーマ,カルチノイド,中枢神経系の炎症,血管障害,肝炎,肝硬変 [対策]神経内分泌腫瘍では同時に臓器関連ホルモンの測定が必要となる(下垂体腫瘍では各種下垂体ホルモン,インスリノーマにはインスリン,グルカゴノーマにはグルカゴン,カルチノイドにはセロトニン,褐色細胞腫にはカテコールアミン,甲状腺髄様癌にはカルシトニン).肺癌ではCEA,SCCなどを同時に測定することで腺癌,扁平上皮癌などとの鑑別を行う.また小細胞癌では異所性ホルモン産生腫瘍を呈することも多くACTH,CRF,PTHrPなどの測定も必要である.神経芽細胞腫では癌遺伝子N-mycの増幅の有無が参考になる


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 NSEは解糖系酵素エノラーゼのアイソザイム(分子量約5万)で,神経細胞と軸索突起に特異的に存在しグリア細胞には認められないためneuron specific enolaseと呼ばれている.神経芽腫や網膜芽腫で上昇する.神経内分泌細胞(脳下垂体前葉,甲状腺傍濾胞細胞,膵島細胞)などにも発現し,これらの腫瘍でも上昇し,神経内分泌腫瘍の性格をもつ肺小細胞癌の診断,治療のマーカーとして臨床応用されている.また食道癌,胃癌,大腸癌,その他肺癌にも存在が確認され,これらの癌の治療効果,再発のモニターとしても有用である.


[感度・特異度]

 肺小細胞癌のマーカーとしては,限局

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