診療支援
検査

膀胱癌関連遺伝子   1,597点
bladder cancer gene
清水 史孝
(順天堂大学大学院准教授・泌尿器外科学)
堀江 重郎
(順天堂大学大学院教授・泌尿器外科学)

基準値 複数の染色体増加のある細胞数が4個以上,9p21シグナルが消失した細胞数が12個以上


測定法 FISH


検体量 自然尿33mL以上


日数 2日


目的 術後の膀胱癌の再発の診断補助


Decision Level

●膀胱癌再発の徴候がまったくないにもかかわらず陽性の場合

[対策]他の尿路上皮癌(例:腎盂,尿管,尿道)の可能性を考慮し精査が必要である

●陰性で,標準的な検査(尿細胞診,膀胱鏡検査など)が陽性の場合

[対策]それらの結果を優先させる.本検査は膀胱癌に最も多いタイプの遺伝子変異を検出するが,本検査では検出できない遺伝子変異をもつ膀胱癌も存在する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 癌の多くは正常細胞の遺伝子の変異(異常)によって発症している.膀胱癌では,3番,7番,17番染色体の異数倍数体が悪性度の異なるさまざまな膀胱癌で広く認められる.また9番染色体の9p21遺伝子座領域には,CDKN2A/p16などの重要な癌抑制遺伝子が存在し,この部分の欠失が膀胱癌の発生・進展に関わっていることが報告されている.

 尿中細胞の3番,7番,17番染色体の異数倍数体,ならびに9番染色体の9p21遺伝子座の欠失を検出することにより,膀胱癌の再発の診断補助に用いる.


[感度・特異度]

 感度 50.0% (95%CI:35.2~64.8%),特異度 72.4% (95%CI:68.3~76.8%).


[関連する検査]

 筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)の初期治療後の経過観察は,膀胱鏡・尿細胞診が中心となる.侵襲的な検査である膀胱鏡の回避や新規検査による診断効率の向上が期待される.尿細胞診は非侵襲的検査であり,特異度の高い尿中分子マーカーとして広く用いられている.一方で,尿細胞診の診断が病理医の経験や検体の採取・処理法に依存するなどの問題が認められている.また尿細胞診の感度は一般的に低く,特に低異型度および再発

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