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検査

流産検体を用いた絨毛染色体検査   2,553点
villous chromosome test of miscarried conception
杉浦 真弓
(名古屋市立大学大学院教授・産婦人科学/不育症研究センター長)

基準値 正常核型46,XX 46,XY


測定法 ギムザ染色法


検体量 子宮内容除去術によって得られた内容物のうち絨毛組織


日数 3~4週間


目的 流産胎児もしくは胎芽の染色体検査


Decision Level

 染色体異数性が認められる.常染色体トリソミーが多く,16番,22番,21番染色体の順に頻度が高い.45,Xもみられる.不均衡転座もみられる.


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 不育症の原因を調べるために2回目以降の流産に対して実施する.女性の加齢により,減数分裂における分配エラーが高頻度に起こるため,卵子染色体異数性に由来する.卵子形成において卵母細胞の第1減数分裂前期において長い停止期に入る.排卵時に分裂が再開されるため,この停止期が長いと染色体分配エラーが生じると考えられている.体細胞では1%以下の分配エラーが卵母細胞では10~30%ともいわれている.また,染色体を接着しているコヒーシンは女性の加齢とともに減少することがわかっている.胚盤胞ではトリソミーとモノソミーが1:1の割合で存在するが,流産検体では45,X以外のモノソミーはまれである.モノソミーは着床前に淘汰される.

 散発流産では60~80%,不育症では40~50%が胎児(胎芽)染色体異数性が原因である.胎児染色体異数性流産では,胎児染色体が正常の場合より次回妊娠における出産率が2.6倍良好であるという報告もある.

 46,XXは母体細胞の混入のことがあり,46,XYに対する頻度が高い場合は,検査精度に問題がある可能性がある.


[関連する検査]

 不育症の原因は,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome;APS),先天子宮異常,カップルの染色体構造異常,甲状腺機能低下症,胎児染色体異数性である.胎児(胎芽)染色体が正常核型の場合,ループスアンチコアグラント(リン脂質中和法,希釈ラッセル蛇毒法

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