基準値 陰性(アセト酢酸として15mg/dL以下)
測定法 試験紙法(ランゲ反応)
検体量 尿10mL(定性)
日数 当日
目的 糖利用低下状態(飢餓,糖尿病,ケトアシドーシスなど)のスクリーニング
Decision Level
●1+~4+(陽性)
[高頻度]飢餓,運動,糖代謝異常(糖尿病,ケトアシドーシス),嘔吐,下痢,周期性嘔吐,ケトン性低血糖 [可能性]高脂肪食,内分泌疾患(甲状腺機能亢進症,先端巨大症,褐色細胞腫など) [対策]糖尿病患者で尿糖,尿ケトン体陽性なら糖尿病性ケトアシドーシスをきたしている可能性を考えて,血糖,動脈血分析,血清電解質を測定し,インスリン投与と水分補給を行う.その他の場合,原疾患の治療を行う
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
ケトン体とはアセトン,アセト酢酸,β-ヒドロキシ酪酸の総称.試験紙法で測定できるのは前2者のみである.
グルコースがエネルギー源として利用されない場合,脂肪および蛋白質がエネルギー源として利用され,その分解が亢進したときにケトン体が生成される.
グルコースの利用が低下した状態(インスリン作用の不足が進行した糖尿病,長期間の飢餓など)で体内にケトン体が蓄積される.アセト酢酸,β-ヒドロキシ酪酸が増量するとケトアシドーシスになる.
アセトンは気化しやすく呼気中にも排出され,β-ヒドロキシ酪酸は尿細管で再吸収されやすい.したがって尿中へ排出するケトン体は主としてアセト酢酸である.
判読
①生理的変動として空腹時や運動後にケトン体濃度の上昇がみられることがある.②早朝空腹時には尿ケトン体は陽性になりやすいので,糖尿病のコントロール状態を判断するには早朝空腹時に採尿する.③糖質の豊富な食事を摂取しても尿ケトン体が消失しない場合は,インスリン不足が高度であると判断してインスリンを増量する.④糖尿病性ケトアシドーシスではβ-ヒドロキシ酪酸が増加して
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