診療支援
検査

髄液β-アミロイド1-42/1-40比〔Aβ42/40比〕
β-amyloid 1-42/1-40 ratio
春日 健作
(新潟大学脳研究所)

基準値 0.067以上(SRL)


測定法 CLEIA


検体量 2.5mL


日数 3~9日


目的 脳内のアミロイドβ(Aβ)沈着の評価


Decision Level

●0.067未満(減少)

[高頻度]アルツハイマー病 [可能性]脳アミロイド血管症,レビー小体型認知症,中枢神経内の炎症性疾患,加齢に伴うAβ沈着 [対策]髄液Aβ42/40比の減少と合わせて髄液リン酸化タウ蛋白の増加を確認できれば,認知症の原因がアルツハイマー病である可能性が高くなる.一方,Aβ42/40比の減少を認めるものの髄液リン酸化タウ蛋白の増加を伴わない場合,脳内にAβ沈着はあるものの認知症の原因は非アルツハイマー病理変化(suspected non-Alzheimer's pathologic change;SNAP)によると判断する


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 髄液Aβ42の減少は,脳内でのAβ沈着を反映しアミロイドPETの集積と高い相関を示すが,さらに脳内でのAβオリゴマーやプロトフィブリルへの重合も反映しアミロイドPETよりも早期の病態を検出すると考えられている.認知正常高齢者であっても脳内にAβの沈着があれば髄液Aβ42/40比は減少するため,アルツハイマー病の診断には髄液リン酸化タウ蛋白の増加と組み合わせて判断する必要がある.また髄液Aβ42単独ではアルツハイマー病以外の病態(脳アミロイド血管症,レビー小体型認知症,中枢神経内の炎症性疾患など)でも低下することが知られているが,Aβ40をリファレンスとしたAβ42/40比は脳内のAβ沈着を特異的に反映し減少するため,Aβ42単独に比べアルツハイマー病の診断により優れている.髄液Aβ42は採取チューブへの吸着によっても減少するが,Aβ42/40比を用いることで吸着の影響は緩和される.


[感度・特異度]

 軽度認知障害または軽度アルツハイマー型認知症を対象と

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