診療支援
検査

羊水中肺サーファクタント蛋白A〔羊水中SP-A〕
surfactant protein A in amniotic fluid
千田 勝一
(岩手医科大学名誉教授)

基準値 420ng/mL以上(成熟値:陰性)


測定法 EIA法


検体量 羊水100μL


日数 2~4日


目的 呼吸窮迫症候群の補助診断


Decision Level

●420ng/mL未満(未熟値:陽性)

[高頻度]呼吸窮迫症候群 [可能性]①肺炎・敗血症や循環障害などによる肺サーファクタントの二次的欠乏,②成熟肺(偽陽性)[対策]①のために出生後に呼吸窮迫症候群を発症した場合は,肺サーファクタント欠乏の主因が一次的か二次的かを臨床的に区別することは難しく,この場合の診断名は「呼吸窮迫症候群+①の疾患名または病態名」にする


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 天然の肺サーファクタントは脂質-蛋白複合体(重量比9:1)で,この蛋白成分には親水性のSP-AとSP-D,および疎水性のSP-BとSP-Cが含まれている.このうち量的に最も多いSP-Aは,SP-Dとともに主に生体防御機能を担い,表面張力低下には直接関与していない.しかし,羊水中SP-Aは肺サーファクタントのマーカーとして,早産のため肺サーファクタントが十分に産生されないで発症する呼吸窮迫症候群の補助診断に用いられる.


[感度・特異度]

 図106に示す.


[関連する検査]

 マイクロバブルテストとの同時測定を行って,羊水中SP-Aとマイクロバブルテストのどちらも成熟値の場合は,成熟肺である可能性が高い.また,羊水中SP-A(肺サーファクタントの生化学的マーカー)が成熟値で,マイクロバブルテスト(肺サーファクタントの機能的マーカー)が未熟値の場合は,肺サーファクタントの二次的欠乏が考えられる.しかし,羊水中SP-A受託検査の報告には日数がかかるため,これらは後日の評価になる.


判読

 偽陽性(未熟値でありながら呼吸窮迫症候群を未発症)をきたしうる因子:①カットオフ値未検討:羊水採取時期が分娩前24時間以上のとき.糖尿病母体児.②希釈:羊水過多.③

関連リンク

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