診療支援
検査

びまん性汎細気管支炎
武内 浩一郎
(関川病院内科)

病態

 両側性びまん性の呼吸細気管支領域を主座とする慢性炎症と,慢性下気道の持続性感染症


[参考]

 「呼吸器感染症に関するガイドライン」成人気道感染症診療の基本的考え方,2003

 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019


異常値

・胸部X線,高分解能CT びまん性粒状影および過膨張.進行すれば続発性気管支拡張症をきたす

・呼吸機能検査 閉塞性換気障害.残気率の上昇

・動脈血ガス 低酸素血症.進行すれば高二酸化炭素血症をきたす

・寒冷凝集素価,血清IgA 上昇

・喀痰細菌検査 初期にはヘモフィルス菌を検出することが多く,進行すると緑膿菌に菌交代する

・副鼻腔X線 副鼻腔内陰影増強.副鼻腔発育不全

・心エコー 進行すると肺高血圧,右心負荷所見


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●胸部X線‍ [安定期]安定期でもエリスロマイシン療法施行時は2~3カ月ごとに撮影し効果を評価する [急性期]肺炎や右心不全を合併すれば頻回に撮影する

●寒冷凝集素価 病勢と並行することが多く年2回程度検査する

●動脈血ガス‍ [安定期]安定期でも数カ月ごとに検査し,病勢の評価,在宅酸素療法の適応を検討する [急性増悪期]頻回に検査し,低酸素血症や高二酸化炭素血症に迅速に対応する

●喀痰細菌検査‍ [安定期]安定期にも菌交代や薬剤感受性の変化を見逃さないために数カ月おきに検討する [急性増悪期]抗菌薬開始前に検討する

●心エコー‍ [安定期]年1回程度 [急性増悪期]右心不全の有無,程度を評価するため適宜施行


診断・経過観察上のポイント

①胸部X線でびまん性粒状影と過膨張を見逃さない.続発性気管支拡張症の合併にも注意する.②高分解能CTで細気管支病変,気管支拡張像,気腫性変化を評価する.③動脈血ガスを経時的にチェックし,低酸素血症,高二酸化炭素血症の進行に留意する.④喀痰細菌検査で緑膿菌への菌交代,薬剤耐性の進行に留意する.⑤呼吸機能検査

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