病態
胃粘膜上皮細胞から発生する悪性腫瘍で大部分が腺癌である
[参考]
胃癌治療ガイドライン第6版,2021
異常値
・血算・血液型 貧血(鉄欠乏性貧血),術前の検査
・生化学検査 低蛋白血症,術前の検査
・腫瘍マーカー(CEA,CA19-9など) 術前の検査,術後の経過観察
・上部消化管造影 腫瘍の部位や形態診断(早期癌か進行癌か,隆起型か陥凹型かなど)
・内視鏡 腫瘍の部位やサイズ,その形態診断(早期癌か進行癌か,隆起型か陥凹型かなど),出血の有無,癌の進展範囲,浸潤の程度,組織生検診断(分化型か未分化型か).色素散布,拡大内視鏡・特殊光観察など多彩な手段を用いることによりその病変の範囲診断や,質的診断能が向上した
・超音波内視鏡 癌の深達度診断
・腹部CT,PET 転移の検索
・腹部超音波 転移の検索
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●内視鏡 術後,定期的に1年ごと
診断・経過観察上のポイント
①進行胃癌は手術可能例であれば外科的切除が原則.②術後は基本的には5年間の経過観察を行い,1年ごとの内視鏡検査の他,腫瘍マーカー,画像(CTや腹部超音波)を定期的に行う.③一方,早期胃癌に対しては,内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が普及してきており,従来一括切除困難とされた2cm以上の病変でも一括切除が可能になってきた.内視鏡治療か外科的手術かの治療選択をする際には,拡大内視鏡検査などの精査内視鏡によって,癌の分化度(高分化型,未分化型),腫瘍サイズ,潰瘍の有無,癌の深達度を総合的に評価する.そのうえで,リンパ節転移の可能性がほとんどないとされる一定の条件を満たすことが予想される病変では,内視鏡治療が行われる場合がある.④最終的には摘出された病理組織結果を参考にし,内視鏡的治癒と判定された場合では半年~1年ごとに内視鏡での経過観察を行う.⑤なお,内視鏡治療後の再発抑制のためH. pylori陽性者