診療支援
検査

膵癌
打矢 紘
(埼玉医科大学・消化器内科・肝臓内科)
水野 卓
(埼玉医科大学准教授・消化器内科・肝臓内科)
持田 智
(埼玉医科大学教授・消化器内科・肝臓内科/診療部長)

病態

 大部分は膵管上皮から発生する癌.予後不良


[参考]

 膵癌診療ガイドライン2022年版


異常値

・腹部超音波 膵腫瘤.膵管の拡張の描出,胆管浸潤例では胆嚢腫大(Courvoisier徴候)

・造影CT 膵腫瘤,膵管の拡張所見.浸潤範囲の診断

・MRI(MRCPを含む) 膵管の途絶像,尾側膵管の拡張や嚢胞.腫瘤描出能は高くない

・EUS 膵腫瘤の描出(特に小さな膵癌の診断に有効).EUS-FNAにて病理診断が可能

・ERCP 膵管の途絶.上皮内癌では膵管狭窄を認め,複数回の膵液細胞診が診断に有用

・PET 造影CTなどで診断困難な場合の補助診断に使用(特に多臓器転移の診断に有効)

・血液検査 腫瘍マーカー上昇(CA19-9,SPan-1,DU-PAN-2,CEA).CA19-9の感度は80% 程度とされるが,早期膵癌の検出には有用とはいえない.アミラーゼ・リパーゼ上昇.膵頭部癌では閉塞性黄疸をきたしビリルビン上昇.血糖値・HbA1c(糖尿病を合併することが多い)


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●ビリルビン‍ [閉塞性黄疸急性期]3日ごと [回復期]1週ごと

●CA19-9‍ [治療効果測定および定期的観察]1カ月ごと

●CEA‍ [治療効果測定および定期的観察]1カ月ごと

●DU-PAN-2‍ [治療効果測定および定期的観察]1カ月ごと


診断・経過観察上のポイント

①症状(腹痛,体重減少など)を有する例は進行癌できわめて予後不良.②閉塞性黄疸を呈する例では,減黄目的に内視鏡的あるいは経皮経肝的なドレナージ術を行う.③腫瘍マーカーの変動は抗癌剤の治療効果の判定や経過観察上,重要である.④膵癌の危険因子として家族歴,遺伝性膵癌症候群,生活習慣病(糖尿病,肥満),膵疾患(慢性膵炎,膵管内乳頭粘液性腫瘍,膵嚢胞),嗜好(喫煙,飲酒),職業(塩素化炭化水素曝露)があり,膵癌高リスク群には定期的スクリーニ

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