病態
銅の先天性代謝異常による臓器沈着
[参考]
Wilson病診療ガイドライン2015
異常値
・血清遊離銅 20~25μg/dL以上
・血清セルロプラスミン 20mg/dL未満
・尿中銅排泄 100μg/日以上
・肝生検所見 特異的な所見はない.脂肪変性と門脈周囲の線維化や亜広範性壊死から粗大結節状の肝硬変までさまざま.銅染色で不規則顆粒状パターン
・肝銅含量 250μg/g乾燥肝重量以上
経過観察のための検査項目とその測定頻度
●血清遊離銅 [急性期]重症度判定,治療の指標,特に初期治療期間(6カ月)は効果判定と予後判定のため1カ月ごと [安定期]治療効果判定のため2~3カ月ごと
●血清セルロプラスミン [急性期]重症度判定,治療の指標のため1カ月ごと [安定期]治療効果判定のため2~3カ月ごと
●尿中銅排泄 [急性期]重症度判定,治療の指標,特に初期治療期間(6カ月)は効果判定と予後判定のため1カ月ごと [安定期]治療効果判定のため2~3カ月ごと
●肝機能検査 [急性期]重症度判定,活動性判定のため1週ごと.ただし,急性肝不全型や重症型は2~3日ごと [安定期]治療効果判定,病期判定のため1~2カ月ごと
●白血球,血小板,尿蛋白 [急性期]副作用モニターのためキレート剤開始後2カ月間は週2回,6カ月まで1カ月ごと [安定期]副作用モニターのため2~3カ月ごと
診断・経過観察上のポイント
①銅輸送P型ATPaseをコードするATP7Bの異常により,胆汁中への銅排泄が著明に低下し,過剰な遊離銅が種々の臓器に沈着して組織障害をもたらす.②病型には家族スクリーニングで発見される発症前型,肝型,神経型がある.③肝型には一過性肝障害,脂肪肝,慢性肝炎,急性肝不全があり,潜在性に進行する肝硬変として発見されることもある.④神経型は,初期には言語障害,振戦,意欲低下,性格変化がみられ,末期には知能低下
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