病態
ポルフィリン・ヘム合成系の先天性代謝異常があり,ポルフィリン体の異常蓄積を認める.ポルフィリン体蓄積臓器により肝型,赤芽球型に分類される.臨床的には,ポルフィリン前駆物質が蓄積されることによる腹部症状を中心とした神経障害(急性ポルフィリン症)と,光力学的作用をもつポルフィリン体が皮膚に蓄積し光線過敏を示す皮膚型ポルフィリン症がある.図109図の8つの酵素障害により前駆物質の蓄積が起こり発症する.晩発性皮膚ポルフィリン症,急性間欠性ポルフィリン症,赤芽球性(骨髄性)プロトポルフィリン症が最もよくみられる
異常値
・δ-アミノレブリン酸(ALA) 尿中で高値
・ポルホビリノゲン(PBG) 同上
急性内臓神経症状の場合には尿中ALAおよびPBGを,光線過敏症を示す場合には総血漿ポルフィリン(直接蛍光光度法)を1次スクリーニングに用いる
・ウロポルフィリン 尿・糞便,赤血球で高値
・コプロポルフィリン 同上
・プロトポルフィリン 糞便,赤血球で高値
・Watson-Schwartz反応 尿ポルホビリノゲン(PBG)のスクリーニングに用いられる.急性ポルフィリン症では尿PBGが著増する.尿にEhrlich試薬を加え,酢酸ナトリウムで中和後,クロロホルムで抽出するとPBGが上層に残る
・Fisher-Brugsch法 尿ポルフィリンのスクリーニング.ポルフィリン排泄のためブドウ酒色になった尿の塩酸抽出層に紫外線を当てると,きれいな赤色蛍光を発する
・ADH 高値.急性ポルフィリン症では,発症期に視床下部症候としてホルモン分泌過剰を示す(低ナトリウム血症,低クロール血症)
・ACTH,コルチゾール,GH 高値.上記ADHの解説を参照
・赤血球PBG脱アミノ酵素 酵素濃度が基準範囲の約50%であればAIPを示唆する.感度よく診断でき,遺伝子解析にも用いられることがある
経過観察のための検査項目とその測定頻度
関連リンク
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