診療支援
検査

遺伝性代謝疾患 その他の先天性糖代謝異常
永田 正男
(ふくやま病院内科)

病態

・ガラクトース代謝異常

 ガラクトース血症は,ガラクトースがグルコース-1-リン酸に転化される過程の先天性代謝異常で,常染色体潜性遺伝の3つが知られている.①ガラクトース血症Ⅰ型:ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT)欠損(日本発生頻度1/90万):乳糖摂取後,嘔吐や下痢を起こす.体重増加不全,肝腫大,黄疸,蛋白尿を示す.白内障・知能障害は,生後数カ月以降に現れる.血中ガラクトース,ガラクトース-1-リン酸とも異常高値を示す.②ガラクトース血症Ⅱ型:ガラクトキナーゼ(GALK)欠損(日本発生頻度1/100万):ガラクトース血症と白内障を起こす.血中ガラクトース高値を示すが,ガラクトース-1-リン酸を検出しない.③ガラクトースⅢ型:UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ(GALE)欠損(日本発生頻度1/7万~16万):酵素異常が血球に限られるため無症状である.少数例で,トランスフェラーゼ欠損症と同様の症状を呈するが,日本人症例は報告がない.治療には一生涯のガラクトース摂取制限が必要である.①の型ではガラクトース摂取制限を行っても内因性ガラクトースにより神経障害,肝・腎障害,白内障などが現れるため注意が必要である.死亡率は高い.「ガラクトース」の項参照.ガラクトースの代謝経路を図113に示す

・フルクトース代謝異常

 ①本態性フルクトース尿症,フルクトキナーゼ欠損:フルクトース尿以外は無症状である.13万人に1人の頻度であり,治療の必要はない.②遺伝性フルクトース不耐症,フルクトース-1-リン酸アルドラーゼ活性低下:フルクトース負荷により,肝内蓄積フルクトース-1-リン酸が,グリコーゲン分解を阻害し,低血糖,嘔吐をきたす.体重増加不全,肝腫大,黄疸,蛋白尿を示す.常染色体潜性遺伝であり,白人では2万~3万人に1人の頻度であり,日本人では1990年以降,

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